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  • 2021年6月29日

縄のれん

高校生の頃は常に空腹だった。 大抵の場合は蒸しパンで腹を満たしたが、さすがに毎日という訳にもいかず、そんな時には市庁舎のそばにあったうどん屋に行った。   うどん屋といっても名前もなく(本当はあったと思う)、太い縄でできたのれんが下がっているだけの田舎の食堂のような外観だったので、「縄のれん」と呼んでいた。 店内も普通の大衆食堂でテーブル席が8席くらいあって基本は相席、メニューも「熱・冷 […]

  • 2021年6月22日

本格インド紅茶

新宿に行かなくなってから大分経つ。 最後に行ったのは西口のビル群の中に本社を構えるクライアントの会社で、東口には30年以上足を踏み入れていない。 日本に住んでいるドイツ人にゴールデン街を案内してもらったのが最後だと思う。   大好きだった街新宿で必ず立ち寄る場所は、ヨドバシカメラ、さくらや、紀伊国屋書店、そしてタカノのインド紅茶専門店だった。 地下の階段に続く踊り場のような場所にある本当 […]

  • 2021年6月21日

まるで修験者

今は弁当に入っている小梅程度であれば食べられるようになったが、子供の頃は梅干しが苦手で、奈良漬もNGだった。 ご飯に色が付くような濃い色のものは得意ではないのかもしれない。   中学校の林間学校が山中湖だか河口湖だかであり、富士山の途中くらいまで登るというのがメインイベントだった。 当日は朝から皆で休憩所で食べる昼ご飯を用意したが、それがでっかい梅干し入りおにぎり2個と奈良漬だった。 & […]

  • 2021年6月5日

主食は蒸しパンだった

パチンコで懐が潤おうまでは生活が苦しかった。 毎朝ばあちゃんから500円もらって学校に行くのだが、何しろ食べ盛りなのでいくらあっても足りなかった。 午前中の2限目が終わるともう腹が減り、食堂に行って着いたばかりの出入りのパン屋のおじさんから一番人気のダブルクリームサンドを買う。 それを食べても4限終わりには腹が減っているので、学食ですうどんを食べて腹を満たす。   午後の5限、6限が終わ […]

  • 2021年5月10日

仔牛のチーズ焼き

「山口屋菓子店」と並んで印象に強く残っているのが、大宮にあった「キッチンブルドッグ」だ。 大宮なんて滅多に行く事のない大都会で当時はまだ珍しい大宮ステーションビルという駅ビルがあった。 小学校3年のクソガキは、駅ビルの本屋で少年探偵団の「青銅の魔人」を買ってもらい、それだけで有頂天だった。   大宮に赴任中だった父親が、大通りから一本入ったアーケードの細い道(マップで調べたらすずらん通り […]

  • 2021年5月9日

山口屋洋菓子店

小学生の一時期だけ、絵がものすごく上手だった。 授業で描いた絵がことごとく展覧会で入選や特選となり、家には賞状が溢れ返った。 中でも小学校4年の時に描いた絵は全国展覧会まで進み、そこでも特選となって、作品は全国を巡回した。   一年くらい経ったある日、学校から例の絵が地元に来ていると連絡があった。 展示されている場所は埼玉会館、生まれて初めて行く県庁所在地だった。 父親は特殊な地方公務員 […]

  • 2021年4月18日

ボンドールささがわ

予備校の夏期講習中は食事が楽しみだった。 本当は毎日、御茶ノ水の「シェーキーズ」の食べ放題ランチのポテトを食べ続けたかったけど、一人だしお金もなかったしそれは無理だった。   そんな時に助けてくれたのがやはり池袋駅、東武ホープセンター内にある「ボンドールささがわ」だった。 ここはカレー専門店でカウンタと数席だけの狭い店だった。 いつも注文するのは一番安いサービスカレー?、「松屋」のカレギ […]

  • 2021年4月17日

すなっくらんど

自堕落な生活を送る高校生ではあったが、代ゼミの公開模試や駿台の夏期講習には参加していた。 チャリで移動可能な地元での生活とは異なる電車での移動だったので、アウェイの地での食事は重要だった。   ガールフレンドとのデートであればそれなりにおしゃれに見える喫茶店とかを使うのだが、予備校帰りにそんなカッコつける必要はなかった。 ただひたすら腹に詰め込みたい、そんな時に日大豊山の友人が教えてくれ […]

  • 2021年3月9日

給食に米

謎の人工肉と同時期にごはん献立も始まった記憶がある。 2月に一度か1月に一度、月間の献立表を見ると「ごはん」となっていて、かやくご飯やカレーライスと書いてあった。 コッペパンもソフト麺も嫌いじゃなかったけど、やっぱり給食に米が出るのは嬉しかった。 いつもの先割れスプーンにいつものアルミ食器だったけど、何だかごほうびをもらったような気がした。   でも正式に米飯給食が取り入れられたのは19 […]

  • 2021年3月8日

忍び寄る人工肉

小学校の給食、特に高学年になってから、カレー限定だった記憶があるが、普段とは異なる味わいの肉が入っている事があった。 毎回必ずという訳でもなく、気が付くとその奇妙な感触の肉に当たるという何だか真実味のない話だったが、校内では、 「人工肉が入ってた」 「石油からできてる」 「いや、石油のカスを固めたものだ」 と話題になった。   食感は今時のソイ・ミートみたいな感じではなく、豆腐に近くてク […]