アポロとテープレコーダー

昔の家庭あるあるで有名なのは、テレビの前にテープレコーダーを置いて、息を殺して直接音楽を録音している時に限って「〇〇、ご飯よー」という母ちゃんの声が入る事。

或いは気が付かずにテープレコーダーの録音ボタンを押していて、後で再生したらとんでもないものが録音されている事。

 

うちでは後者のケースが、しかもアポロ11号の月面着陸の生中継の日に起こった。

上の姉が間違って録音を押していたらしく、大笑いしながら茶の間に入ってきて家族全員で再生テープを聞いた。

「わあ、アームストロング歩いてる」
「ねえ、シューベルツの新曲がさあ」
「昼はそうめんでいいかねえ」
「もう一人はオルドリンでしょ。あれ、後もう一人いなかったっけ?」
「あのトンボ鉛筆のコマーシャルがとにかくカッコいいの」
「今日、バレーボールやってなかったっけ?」
「コリンズだよ、コリンズ」
「♪ 太陽輝き、大空見上げて、トンボよ~空へ~、はぁ、カッコいいなあ」
「それよりサインはVよ」
「あ、おれ、その歌知ってる。V・A・C・A・T・I・O・N サインはV!」
「それじゃ弘田三枝子の歌だって」
「こら、黙って観ろ」
「そうめんでいいよねえ」

 

出典:wikipedia