まるで修験者

今は弁当に入っている小梅程度であれば食べられるようになったが、子供の頃は梅干しが苦手で、奈良漬もNGだった。

ご飯に色が付くような濃い色のものは得意ではないのかもしれない。

 

中学校の林間学校が山中湖だか河口湖だかであり、富士山の途中くらいまで登るというのがメインイベントだった。

当日は朝から皆で休憩所で食べる昼ご飯を用意したが、それがでっかい梅干し入りおにぎり2個と奈良漬だった。

 

軽い絶望感を抱きながら山登りを開始した。もしかすると空腹なら美味しく感じるかもしれない。

途中の踊り場のような岩場で昼食となった。

 

包みを開けて声が出そうになった。

朝より酷い。

奈良漬がおにぎりにぎっちり食い込んで、存在を主張し、梅干しも負けじとご飯を朱に染めている。

 

結局、同級生におにぎりをあげて、自分は麦茶のみで登山を行った。