John Denver – Annie’s Song

初めて買ったLPレコードはジョン・デンバーの「Back Home Again」だった。
シングルはすでに手に入れたので、大人になるための次のステップはLPレコードゲットだったが、LPはシングルに比べて値段が高かった。
中学生の小遣いだけでは到底買えない高級品、それがLPだった。

 

だが救う神あり、地元の百貨店のレコード店には輸入盤LP大特価コーナーの一角があった。
定期的にそこを訪れては記念すべき最初の一枚を手に入れるべく、まるで飢えた獣のようにレコードを漁った。

レコード屋に通った人はわかるだろうが、立てかけてあるレコードの山を片っ端から猛スピードで吟味していく技、あれは必要にかられて取得する。
必死になれば坊主頭の中学生でも、渋谷や吉祥寺の輸入レコード屋でレコードを漁るファッショナブルな人と一緒の動きを習得できたのだ。

 

何週間もかけて数枚のLPを購入候補とした。

 

Quadrophenia (四重人格)                 The Who
Foxtrot (フォックストロット)               Genesis
The Lamb Lies Down on Broadway (眩惑のブロードウェイ) Genesis
Photos of Ghost (幻の映像)                P.F.M.
Look at Yourself (対自核)                Uriah Heep
Meddle (おせっかい)                    Pink Floyd
Tarkus (タルカス)                     ELP

 

今考えればいずれ劣らぬロックの名盤ばかりだが、当時はジャケットと値段だけが主たる判断要素だった。
なので一番カッコよかった2枚組の「四重人格」は値段の点であきらめざるをえなかった。
残りの候補の中から最初の一枚を買うぞ、そう思っていた所に飛び込んできたのがジョン・デンバーだった。

500円! 圧倒的に値段が安い。シングルと同じ値段だ。

 

気が付けばレジに向かっていた。

 

John Denver | Annie’s Song

 

でも良いアルバムだった。
「Annie’s Song (緑の風のアニー)」は今でも聴くとグッとくるものがある。

 

出典:Back Home Again | John Denver

 

高校生になって組んだバンドのメンバーが
「ジョン・デンバーってさ。日本語に直すと『ど田舎太郎』みたいな名前だろ」
と言った時に、LPを持っているとは言わなかった。