麻雀の記憶

麻雀は強くも弱くもないと思う。
役は一通り知っているし、符計算もできる。

 

覚えたのは小学校高学年の時だった。
父親は転勤族で関東各地を単身で渡り歩き、ついでに各地に愛人を作っていたようだが、珍しく地元勤務となった時期があった。

夕食が済むと、押し入れから麻雀牌を取り出してきて説明を始める。
牌の呼び名から役の作り方、そして符計算まで全部教え込んだ後、その週末くらいから人を呼び始めて、我が家は一気に雀荘状態になった。

もちろん自分はみそっかすでメンバーには入っていないが、父親や他のメンバーが席をはずす時やどうしても中座しなければならない時には代打ちとして参加させられた。

 

一応大人たちは気を遣って、「いいよ、いいよ、役なしで上がっても」と言ってくれ、多分振込も見逃してくれたと思うが、父親だけは容赦なく上がった。
さすがに精算は父親が肩代わりしてくれたが、「お前の借金な」と言われた時の絶望感は今でも忘れられない。

 

そんなこんなで、基本はファミリー麻雀だけやってきた。

今までで一番すごかった手役は、大三元四暗刻単騎(もう一つの暗刻はドラの九筒、で西単騎だったので青空天井だったら更に混一、混老頭、ドラ三)、でも上がれなかった。