アイドルの悲哀 ピンクレディー

高校1年の頃、地元の百貨店の屋上に新人アイドルが来てサイン会が行われた。

田舎の百貨店に来るような新人アイドルは大抵日の目を見る事なく、大人のいいおもちゃとして弄ばれたままその活動を終えるんだろうなという妙な偏見があった。
「ドサ回り」という言葉に象徴される通り、何だか芸能人の悲哀を感じるようであまり好きではなかったのだ。

 

その日は強風、その中でミニスカートを履いた二人組の女の子はまだデビュー前らしくて、発売予定のデビューシングルのA、B面で2曲しかない持ち歌を歌い、シングル購入者に即席サイン&握手会を行い、再びデビュー曲を歌うという構成のショーを懸命に勤め上げていた。
自分は「ああ、この子たち、きっとすぐに解散だなあ」と冷ややかに思いながら少し離れた場所でその様子を見ていた。

 

その数か月後に、彼女たち「ピンクレディー」が世を席捲するとは夢にも思わなかった。

 

ピンクレディー | ペッパー警部