タバコを初めて吸ったのは中学校2年、さびれた商店街の2階にある喫茶店でだった。
銘柄も覚えている。「スリーキャッスル」という洋モクだった。
最初の頃はカッコつけたくてただふかすだけ、というのを続ける内に、高校に上がる頃には手放せなくなっていた。
両親共に喫煙者だったので父親からくすねた「セブンスター」が自然と愛用のタバコになった。
その後、父親が「マイルドセブン」に変えたので自分も追随し、「ジャスト」に変えた時に「こんなスカスカのじゃやってられん」と袂を分かった。
その後は「ショートホープ」、「ラーク」(これらはパチンコ屋の雀球の景品だった)に浮気もしたが「マイルドセブン」時代が続いた。
大学に入る頃にようやく「マールボロ」に落ち着き、以降ずーっと「マールボロライト」系を吸い続けた。
気付けば喫煙歴40年以上になり、多分タバコは一生辞められないなあ、何度禁煙を決意してもすぐに挫けるし、とあきらめかけていた2018年に突然その日は訪れた。
クライアント企業の入っているビルの喫煙室で後輩が「電子タバコにしないんすか?」と聞いてきた。
「うーん、JTの株主だから優先的に買えるんで申し込んだけど、吸った事ない」
「ああ、プルームっすね。吸えばいいじゃないすか」
翌日からプルームテックを使い始めた。
「へえ、面白いね、ちゃんとタバコだ」
「そうっすよね」
などと後輩と話していたが、
ある日突然
オレはこんな金属の棒を咥えて何をしてるんだ?
という哲学的な境地に達して、その日を境にピタリと止める事ができた。