高校1年の時に写真部の部長に連れていってもらったのが人生で初のパチンコだと記憶している。
子供の頃に父親が駅前のパチンコ屋に行ったきり帰ってこないから迎えに行ってきて、と母親に頼まれて何度か店内に入った事はあったが、玉を弾いた事はなかった。
そのパチンコ屋は高校の近くのさびれた商店街の一角にあり、細い通りを隔てた前の店は確か特殊浴場で、数軒先には成人映画専門の映画館があるという極めて教育に良い環境だった。
平日の午後にさびれた商店街のパチンコ屋に行く人間などあまりおらず、その筋っぽい人か年金暮らしの老人がちらほらいるだけの店内で写真部部長が釘を見て、この台を打てと指示してくれた。
当時のパチンコ台はまだ自動式ではなく玉を手で入れながら打つやり方だった。
玉貸機も台の間にあるのではなく、カウンタでお金を払ってから、店員さんがでっかい玉貸機のレバーをガチャンと下げてザーッと出てくる玉を借りる方式だった。
最初の内は手で受けるとこぼれそうで怖かった。
そんなほとんど電化されていない店で初めての勝負だった訳だが、まさしくビギナーズ・ラック、200円使って500円程度のお菓子に変える事ができた。
下手くそながらこの後、四半世紀続くパチンコとの付き合いの始まりだった。