生意気な性分 日本カメラ

高校ではバンド活動の傍ら、写真部に入っていた。

何かを撮りたい、表現したい、という高尚な動機ではなく、部室が学校の裏門から一番近いという理由だったような気がする。
いざという時には真っ先に学校から出ていけるし、誰にも会わずに暗室付きの部室に忍び込む事が可能だった。
だからと言って何かを企んでいた訳でもなく、ただただモチベーションが低かっただけなのかもしれない。

 

しかも貧乏だった。
新しいカメラを買う金は当然なく、父親のお下がりのペンタックスのカメラを使い続けた。
そのくせアクセサリには凝り、ズームレンズや特殊フィルタ、ちょっと高価なマット印画紙とか見つけては買い漁った。

これはプラモデルの時と一緒だった。
金がないので大きなものは買えない。そこで周辺のちまちましたものを買い漁り、結局は散財してしまう、一番駄目な金の使い方だった。

 

そしてプラモデルの時と同じ、それほど情熱もないくせに専門雑誌を購読してしまう。
という事で高校生の間は「日本カメラ」が定期購読書だった。

何も知らないくせに「東松照明がさー」とか生意気を言っていた。