「フラッシャー」と言っても、裸にコードだけ羽織って外で広げる人の事ではない。
小学生の時にフラッシャー付きの自転車は一大ブームだった。
フラッシャーというのは自転車の後方に付いている方向指示器で、後部座席部分がでっかい箱になっていて、そこに単一乾電池を6本くらい詰め込んだ記憶がある。
で、手元の方向指示スイッチを左右に切り替えると後部座席の電池箱と一体化した電飾が電子音と共に流れるように光る。
当時はまだ見る事はなかったけどデコトラと同じような感じだ。
子供の頃に乗っていた自転車が小さ過ぎるので買い換え時期に差し掛かっていた自分たちの世代は一斉にフラッシャー自転車に乗り換え始めた。
中でも一番人気だったのは、「丸石」のフラッシャー自転車だった記憶がある。
丸石のフラッシャーの音を再現すると
ぴぷーぴぷーぴぷーぴー、ぱぱぱ、ぴーぷー、ぱぱぱ、ぴーぷー
この電子音と共にきれいな光が流れるのだった。
でも、このフラッシャーブームはすぐに過ぎ去ってしまう。
自分は丸石ではなくナショナル自転車だったが、中学に上がる頃にはフラッシャーを取り外して普通の荷台に替えていた。
理由は何かと尋ねられれば、やっぱり恥ずかしかったからだ。
「あいつ、中学生にもなってフラッシャー自転車乗ってるぜ」
あれほど欲しくて欲しくてたまらなかったフラッシャーがお荷物になるとは、何と人間の愚かな事か。
「やっぱりブリヂストンのロードマンだよねえ。今更、フラッシャー付きのセミドロップハンドルなんて」
どの口が言ってんだか。