中学生の時に聴いていた音楽は、カーペンターズに代表されるポップス、ロックっぽいと言ってもせいぜいポール・マッカートニー&ウイングス止まりだった。
邦楽も同じ、歌謡曲が主体で井上陽水とかガロもなかなかいいね、くらいの程度だった。
ところが高校に入学して3ヶ月経たないうちに、バンド活動を始める事になった。
友人はスコアを渡しながらこう言った。
「最初はパープルとかツェッペリンからやるんで歌覚えてきてよ」
ぱ、ぱーぷる?
つぇっぺりん?
これは今までとは違う音楽を聴かないとメンバーと話もできない。
しかもバンド結成の話が持ち上がったのは5月頃だったのに、4ヶ月後の9月にはコンテストへの参加が予定されていた。
とにかく必死になってロックを聴かねば。
でもLPを買う経済的余裕はないので、まずはディープ・パープルの「Machine Head」と「In Japan」をメンバーから借りてその曲だけを何度も何度も聴く事にした。
家にはコンポもなく、LPをカセットに録音できなかったので、同じ高校に進学していた大江健三郎好きの友人の家でダビングをさせてもらった。
聴き込み、練習、その繰り返しにより、4ヶ月後のコンテストでは無事、「Highway Star」を歌い上げる事ができた。
1973年が目覚めの日だとしたならば、きっとこの1976年は音楽の激流に飲み込まれ始めたきっかけの年なんだと思う。
Deep Purple-Made in Japan | Highway Star