楽しかった新人研修生活はわずか半月程度で終わりを告げた。
正式にアサインされ、プロジェクトがキックオフしたからだった。
クライアントの場所は幡ヶ谷だった。
最初にお客様と名刺交換をする前にそのプロジェクトの責任者の例の大学の先輩から
「いいな。何年目ですかと聞かれたら三年目のシニアですと答えるんだぞ」とくぎを刺された。
えー、それって詐称じゃん、と思いつつその通り答えたが、「今までのプロジェクト経験は?」と訊かれたらもうアウトだった。
本社研修については、建前上は提示は幡ヶ谷で仕事をして、夜中にトーニングセンターに行ってもよいとの事だったが、どう考えてもそれは無理な相談だった。
後々になり、自分が管理職になってわかった事だが、正式なアサインペーパーも発行できない身分(新人研修中)、よってコンサルタント単価もゼロ、といった滅茶苦茶な状況だった。
業界の常識として「できないのが当たり前、できたらめっけもの」くらいにしか扱われていないのだなと気付き、本来は監査の道に進むつもりだったがコンサルとして爪痕残してやろうじゃねえかという気になった。
Gerry Rafferty | Right Down the Line(1978)