こどもの国

あまり方向感覚がよくない。

地図も読めないし、車を運転しているととんでもない場所に出てしまう事はしょっちゅうだった。

 

ガールフレンドの住まいが川崎の宮前区だったので夕食後に大学のある三鷹から車で送った事があった。

その日は妙な天候で黒い雲が低く垂れ下がり、冷たい風が吹き付ける、まるで雹が降る前の雰囲気だった。

自分は多摩川を渡る時には府中街道の是政橋しかわからなかったので、府中街道を使って神奈川に入った。

普段通りであればどこかで左に進路を取ればよみうりランドがあって聖マリアンナの辺りから宮前区に入るはずだったが、その日に限っていつになってもよみうりランドが登場しない。

そうこうしている内に雹ではなく深い霧が立ち込め始め、ほぼ前方の視界が効かなくなった。

気のせいか道も登り勾配になってきた濃霧の道を延々と走り続けると、登り切った先に看板が照らし出された。

「よこはま こどもの国」

 

悲鳴が出そうになった。

多分濃霧のせいだったのだろう、一帯の雰囲気が尋常ではなかった。

生き物の気配がしない、これのどこが「こどもの国」なのか。

このままここから出られないのではないかと泣きそうになった。スティーブン・キングの読みすぎだな。地元の皆様ごめんなさい。