いつものように高校に侵入して遊んでいた。多分小学校3,4年だったと思う。
その日は体育館の扉が開けっ放しだった。
無人の体育館に忍び込んで、一通りバスケットやバレーボールで遊んだ後に一人の友人がある物を見つけた。
「なあ、あれ体操の吊り輪じゃね?」
早速二階の観客席にロープで縛り付けてあった吊り輪をはずしたが、あまりに高くて手が届かない。
急遽跳び箱を持ってきて、それに乗ってジャンプすればどうにか届くように準備をした。
他の友達の反応は覚えていないが、自分がぶら下がった時の感覚は今でもはっきりと覚えている。
吊り輪に掴まって最初に感じたのは、「鉄棒と違う」だった。
全体重を両肩で支えているような感じがして、友達から「十字懸垂してみろよ」と言われトライしたが悲鳴を上げてしまった。
よく電車の吊革で酔っ払いが吊り輪の真似事をやっているので、「簡単じゃないの?」と思うかもしれないがそれは大間違い。
吊革はきっちりと固定されているから体を持ち上げたりできるけど、吊り輪は「だゆんだゆん」になっているのでどうにもコントロールができない。
もはや拷問だ。