1986年の3月、論文も無事提出が終わり、後は4月まで何をしようかと思案していた。
会社が外資系だったため英語の目標はTOEIC 750点というなかなかの高ラインに設定されており、皆、入社前から英会話レッスンを受けないといけなかったが、入社試験後のTOEIC試験で820点を取っていたのでそれも免除された。
ただ4月から一緒に働く同期に会っておきたかったので、無理を言って週1だけレッスンを作ってもらっていた。
そんなある日、OB訪問した会社の先輩から連絡があって、会社に来いと言われた。
青山のオフィスに行ってみると先輩とは別の人がいて、「じゃあこれを両面でコピーしておいてね」とコピー室に連れていかれ、半日くらいずっとコピーをした。
作業が終わり帰ろうとすると、指示を出した先輩もおらず、セクレタリの女性が「明日も来てください」と言って、その日は終わった。
翌日以降も延々と大量の英文のマニュアルのコピーが続いたが、数日経ったある日、一人のセクレタリがコピー室に入ってきて「大変ね。バイト?」と尋ねられた。
「いえ、4月入社予定です」
「じゃあ今はバイトよね」
「えっ、何も言われてないですけど、やっとけって」
これを聞いた途端、セクレタリの人が血相を変えて自分の席に戻り、電話をかけ始めた。
しばらくしてセクレタリの人が戻ってきて、「やっぱりそんな事だろうと思った」
「何ですか。そんな事って」
「〇〇さん(大学のOB)に電話したの。彼にバイト代は出してるのかって。そしたらいや、向こうからのボランティアだから、ごにょごにょみたいな事言って」
「はあ」
「でもバイト代は出るって。でもあの人には気を付けた方がいいわよ」
フォローアップの先輩も言ってたし、そんなにやばい人なのだろうか。
Eric Carmen | All by Myself(1975)