まっとうに大学を卒業できそうにないのが判明した時点で、色々と姑息な手に打って出ようと考えた。
その一つが留学だったが、大学の提供する公式留学プログラムに応募するには圧倒的に成績が足りなかったので、地元のロータリークラブの留学制度に応募した。
友人の伝で会員の方の推薦状を書いてもらい、いざ面接に臨んだ。
留学して何をやりたいかが決まっている訳ではなかったので、「音楽や美術を勉強するために留学します」という人たちに比べると留学の動機が弱かったというか、ゼロに等しかった。
ちょうど読んでいた「POPEYE」に出ていた「コーネル大学ホテルレストラン経営学科」の聞こえが良かったので、この線で行こうと思った。
「地元の飲食業を活性化させるためのレストランプロデュースの勉強……」
とか適当な事を言っていたら、思いの外評判が良く最終面接まで漕ぎ付ける運びになった。
当日はいつものFicceのような派手なニットではなくアーガイルの地味なニットを着て出かけ、無事に面接を終えた。
結果は不合格。
後で推薦状を書いてくれた会員の方に理由を聞くと、恰好に真剣さが感じられなかったとの事。
自分の中では一番地味なファッションだったが、世間の常識的にはスーツだったんだろう。
動機もいい加減だったし、落とすのが正解。
自分が面接官だったとしてもそんな奴は落とす。
The Style Council | My Ever Changing Moods(1984)