JR中央線に乗って大学に向かっていた時だった。
いつも通り、Tシャツに短パン、バックパックというアメリカかぶれファッションで国分寺から上り方面に乗っていた。
昼少し過ぎた時間でさほど車内は混んでいなかったが、ドア付近の吊革につかまって広告をぼーっと見ていたら近くに人が立ったのを感じた。
「混んでないのに妙に近くに立つな」くらいの感覚で気にも留めずに広告を見続けていると、何だか下半身がもそもそしてきた。
全く訳がわからなかった。
近くに立っていた小柄な中年男性は今や自分に密着していて、背中越しに手をさわさわと動かしていた。
きっと偶然だ、そう思って体の向きを少し動かした所、相手もポジションを変えてくる。
わー、これは痴漢かも。想像もしていなかったけどどうすればいいんだろう。
大声を出そうかな、でも武蔵境まですぐだし、みっともないから止めておこうかな。
そう思っている間に男性の動きがより大胆になってきた。
間違いなく痴漢だ。でも声を出すのって勇気がいるな。
結局東小金井の手前で無言で突き飛ばしたら、そそくさと逃げていった。
痴漢被害の不快さ、恐怖が少しだけ理解できた気がした出来事だった。