地元には旧市街の老婆のいるビリヤード場だけでなく、駅近のボーリング場にもビリヤードができる場所があった。
こちらは四つ玉2台、ポケット台2台置いてあったが、映画「ハスラー」が流行るまではポケットをやる人はあまり多くなかった。
もっぱら一緒に突く相手はMという友人だった。
Mは元高校球児で某プロ球団からスカウトされたほどの運動神経抜群の人間で様々な球技に長けていた。
ビリヤードの台が空いてない時には、併設のボーリングレーンかパチンコ屋で一緒に時間を潰したが、ボーリング、ビリヤード、何をやっても勝てず、挙句にパチンコまで強かった。
何で自分はこんなに下手なんだろうと落ち込んだが、Mではない別の人間とボーリングをやれば200以上を出し、ビリヤードをやれば悪魔のように金をむしり取ったので、自分が下手なんじゃない、Mが上手すぎるんだという結論に達した。