自分の頭の中の東京地図は長らく山手線路線図と地下鉄の一部が全てで、駅のある場所が線でつながっているだけだった。
クルマの免許を取った事でようやく電車のない町も含めて通りに沿った線が広がっていったが、JRと地下鉄といった電車とクルマを組み合わせて考える事は難しかった。
六本木と渋谷の位置関係を聞かれても、よくわからないままだった。
大学生になり渋谷に足繁く通うようになって、何度も歩く内にようやく渋谷と原宿の間を細かい通りを含めた『面』でイメージできるようになった。
原宿から代々木は高校生の時に制覇したつもりになっていたので、渋谷区の半分くらいは自分の庭だみたいな大勘違いをしていた。
ほとんど行く場所は決まっていて、「ディスクユニオン」か「CISCO」でレコード見て、「DEN」か「詩仙堂」でお茶飲むか、「Capri」か「シェーキーズ」でピザ食べてから、少し歩くと原宿みたいな感じだった。