1980年頃は、いつでもバックパックにフリスビーを入れて歩いていた。
自分が通っていた大学はアメリカナイズされていてバックパック使用者がとても多かったが、地元でバックパックなんぞを背負っていると「山でも行くんかい」と言われる時代だった。
しかもその中にはフリスビー、ただのイカレ野郎だ。
いつものようにディスコ仲間のK君、議員の息子Hとフリスビー投げ合っていると、後から合流したM君が「近くのミスドに坪田直子がいたよ」と教えてくれた。
急いで駆け付けると確かに一人で座ってコーヒーを飲んでいた。
これはサインをもらわなきゃと思ったが、手に持っているのは今まで投げ合っていたフリスビーだけ。
ええい、失礼を承知でお願いしちゃえとフリスビーを差し出して「サイン下さい」と言ってみた。
すると「気まぐれ天使」のままの気だるい感じ、ハスキーな声で「はい」と言ってフリスビーにサインを書いてくれた。
わ、このフリスビーもう投げらんないな、と一瞬思ったが、その数分後には元の駐車場に戻ってフリスビーを再開した。
何でうちの町になんかいたんだろ。
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