ぐんようこうり
昔はどの家にも必ずあった?と思う。
鈴虫を飼うための火鉢を押し入れから取り出した時にその存在に初めて気付いた。
ばあちゃんに聞くと、押し入れには亡くなったじいちゃんの色々なものが押し込んであり、行李も火鉢もその一つだった。
行李と火鉢以外にも日本刀の鞘とか時代物の和剃刀も出てきた。
じいちゃんは某新聞社のカメラマンをしていたので従軍カメラマンとして戦地に赴いていたらしかった。
どっちに出征していたかまでは聞かなかったが、象牙でできた麻雀牌も出てきたのできっとそちら方面だったのだろう。
じいちゃんが戦地で撮った写真でも残っていれば価値があったのだが、押し入れの中には日常の風景を撮った写真を貼ったアルバムしかなかった。
疾走する機関車、大雪の翌日の雪かきの様子、おそらく赴任地の前橋で撮ったものだったのだろう。
 :