1970年代に集英社から刊行された全38巻の「世界の文学」。
その第2回配本がフィリップ・ロスの「素晴らしいアメリカ野球/さようならコロンバス」で今も手元にある。
金額は1冊1,300円、当時の物価を考えるとなかなかのものだが新書版はとにかく高かったので仕方ないのか。
高校生だった自分は清水の舞台から飛び降りる心境で買ったんだと思う。
でも何故さほど興味のなかったフィリップ・ロスの本を買ったのか。
実際のロスの本の巻末に載っていた配本予定を眺めて、ようやく記憶が蘇ってきた。
その他の配本予定
カフカ 城/巣穴/田舎医者 ボルヘス 伝奇集 サルトル、カミュ アルトナの幽閉者、転落 シリトー 長距離走者の孤独 コルタサル 石蹴り遊び ソルジェニーツィン 煉獄の中で
当時、本当に読みたかったのはシリトーの「長距離走者の孤独」だった。
で、無謀にもシリトーの回が刊行されるまで全巻買うと思い立って、その初っ端で金が続かなくなって躓いたんだった。
結局、「長距離走者の孤独」は図書館か何かで借りて読んだような読んでないような。内容もあまり記憶に残っていない。
本題のロスだが、「さようならコロンバス」のラストシーンにはちょっときゅんとした。
実際にオハイオ州コロンバスに行った時に「ああ、ここが舞台だったんだ」と思い出したりもした。