高校生の頃は常に空腹だった。
大抵の場合は蒸しパンで腹を満たしたが、さすがに毎日という訳にもいかず、そんな時には市庁舎のそばにあったうどん屋に行った。
うどん屋といっても名前もなく(本当はあったと思う)、太い縄でできたのれんが下がっているだけの田舎の食堂のような外観だったので、「縄のれん」と呼んでいた。
店内も普通の大衆食堂でテーブル席が8席くらいあって基本は相席、メニューも「熱・冷」、「大・中・小」しかなかったと記憶している。
いつでも市の職員や市役所に来た人で混雑していた。
美味かったのもあるが、何と言っても量と値段が抜群に優れていた。
確か「大」でも200円しなかったんじゃなかったろうか。