「三丁目の夕日」の世界

子供の頃は欲しい物は商店で購入するのが基本で、あちらから御用聞きにきてくれるケースも多かった。

昔、実家が米屋の隣に住んでいたので、引っ越してからもそこのごろうさんが米とたまにプラッシーの配達をしてくれた。

魚屋のなかたけさんの御用聞きにくる若いお兄さんは大学を卒業したけど魚屋の後を継いだらしい。
いつも奉書巻紙みたいな紙に仕入れた魚の名前が手書きで書いてあった。

豆腐屋のお兄さんもカッコよかった。
笛の音を聞いて幼い自分がばあちゃんと一緒に豆腐を買いに外に出ていくと、舌を「カッ!」と勢いよく鳴らして出迎えてくれた。

納豆配達のおじいさんは朝早くから町を回っていた。
独自の藁苞納豆が絶品だった。

 

煙突掃除のおじさんは御用聞きではなかったけど仲良しだった。
いつも真っ黒な顔をしてブラシの付いた長い針金を肩からかけていた。

あまりにも仲良しすぎて一度、おじさんの家の途中まで勝手に付いていってしまったため、家族から捜索願が出た事があった。