ジウランと美夜の日記 (12)

 Episode 5 崩壊

20XX.8.2 祖父の真実

 昨夜じいちゃんは戻ってこなかった。日が沈む頃、ビーチで寝ていたじいちゃんを起こすと「ジウラン、金持ってるか」と訊いてきた。一万円を渡すと「メイド喫茶に行ってから漫画喫茶に泊る」と言い残して出かけた。
 何だか力が抜けた状態で家に戻った。美夜はじいちゃんの冒険譚を読んでいた。
「あ、ジウラン、ごめんね。夕食買ってきてくれない。頑張って今日中にこれ読み終えるから」
 美夜の言葉を聞いてやれやれと思った。皆、こうやってじいちゃんのペースに巻き込まれていくんだ。

 あまり愉快な気分になれず、夕食もそこそこに床に入った。
 翌朝、起きると、美夜はもう朝食の準備を済ませていた。今日も仕事を休むつもりらしかった。
「ねえ、ジウラン。読み終わったわ。これは知っておくべき事だから聞いて欲しいの。ううん、おじい様の自慢話なんかじゃないから」
 美夜の話が始まった――

 ――デズモンド・ピアナが地球にやって来たのは、第二次大戦の少し前だった。彼は麹町の須良家に居候をする。この須良家の大都という子供が後の帝国大帝である。
 デズモンドは『パンクス』と親しくなる。すでにケイジもそこにいて、天野釉斎の父、有楽斎とティオータという人物がデズモンドの世話を焼く。
 地球に来たのは「ノカーノが地球に来た目的」を探るためだった。デズモンドは苦労してノカーノと空海、ローチェの関係を調べるが、折悪く太平洋戦争が始まる。
 デズモンドは調査を続けながら、父を戦争で失った須良大都を息子のように面倒を見るが、東京大空襲で大都と離れ離れになる。
 戦後になり、探し続けた大都が門前仲町の市邨家に保護され、無事な事を知ったデズモンドは調査を再開、ようやく大都と念願の遠野に到着する。
 遠野でノカーノの歴史を確認したデズモンドは最後の残された場所へ旅に出る。行き先は《智の星団》、サフィの秘密が眠る場所。ところがそこでシップが故障する――

「――という話よ」
 上手い言葉が見つけられなかった。じいちゃんが地球に来た理由、戦時中の暮らしぶり、大帝との関係、何もかもが驚きだった。
 それにしてもじいちゃんはどうやって《智の星団》から戻ってこれたんだろう

 

登場人物:ジウランと美夜の日記

 

 
Name

Family Name
解説
Description
貫一葉沢内閣調査室勤務。身寄りのないシゲの世話をし、ジウランたちに協力を申し出る
もえ市邨美夜が「おばさん」と呼び慕う女性
釉斎天野『パンクス』日本支部長
ケイジワンガミラの剣士

 

 Episode 5 崩壊

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