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20XX.8.2 祖父の真実
昨夜じいちゃんは戻ってこなかった。日が沈む頃、ビーチで寝ていたじいちゃんを起こすと「ジウラン、金持ってるか」と訊いてきた。一万円を渡すと「メイド喫茶に行ってから漫画喫茶に泊る」と言い残して出かけた。
何だか力が抜けた状態で家に戻った。美夜はじいちゃんの冒険譚を読んでいた。
「あ、ジウラン、ごめんね。夕食買ってきてくれない。頑張って今日中にこれ読み終えるから」
美夜の言葉を聞いてやれやれと思った。皆、こうやってじいちゃんのペースに巻き込まれていくんだ。
あまり愉快な気分になれず、夕食もそこそこに床に入った。
翌朝、起きると、美夜はもう朝食の準備を済ませていた。今日も仕事を休むつもりらしかった。
「ねえ、ジウラン。読み終わったわ。これは知っておくべき事だから聞いて欲しいの。ううん、おじい様の自慢話なんかじゃないから」
美夜の話が始まった――
――デズモンド・ピアナが地球にやって来たのは、第二次大戦の少し前だった。彼は麹町の須良家に居候をする。この須良家の大都という子供が後の帝国大帝である。
デズモンドは『パンクス』と親しくなる。すでにケイジもそこにいて、天野釉斎の父、有楽斎とティオータという人物がデズモンドの世話を焼く。
地球に来たのは「ノカーノが地球に来た目的」を探るためだった。デズモンドは苦労してノカーノと空海、ローチェの関係を調べるが、折悪く太平洋戦争が始まる。
デズモンドは調査を続けながら、父を戦争で失った須良大都を息子のように面倒を見るが、東京大空襲で大都と離れ離れになる。
戦後になり、探し続けた大都が門前仲町の市邨家に保護され、無事な事を知ったデズモンドは調査を再開、ようやく大都と念願の遠野に到着する。
遠野でノカーノの歴史を確認したデズモンドは最後の残された場所へ旅に出る。行き先は《智の星団》、サフィの秘密が眠る場所。ところがそこでシップが故障する――
「――という話よ」
上手い言葉が見つけられなかった。じいちゃんが地球に来た理由、戦時中の暮らしぶり、大帝との関係、何もかもが驚きだった。
それにしてもじいちゃんはどうやって《智の星団》から戻ってこれたんだろう
登場人物:ジウランと美夜の日記
名 Name | 姓 Family Name | 解説 Description |
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貫一 | 葉沢 | 内閣調査室勤務。身寄りのないシゲの世話をし、ジウランたちに協力を申し出る | |
もえ | 市邨 | 美夜が「おばさん」と呼び慕う女性 | |
釉斎 | 天野 | 『パンクス』日本支部長 | |
ケイジ | ワンガミラの剣士 |