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1 ドロテミス
ドロテミスは王宮の近くでヌガロゴブと戦い続けていた。
ドロテミスの振るう大剣とヌガロゴブの大斧が宙で交わり、火花を散らした。辺りの城壁はぼろぼろに破壊され、地面にも幾つもの穴が開いた。
「てめえ、案外やるじゃねえか」
ドロテミスが言うとヌガロゴブも答えた。
「全くだ。だがてめえとは仲良くできそうにねえ」
「ははは、その通りだ」
遂に決着の時が訪れた。大剣の一撃がヌガロゴブの大斧の柄を破壊した。
「勝負ありだな」
「『山壊斧』をぶっ壊すとは――とっとと首を刎ねやがれ」
「実力の違いじゃねえ。得物の違いだったな――悪く思うなよ」
辺りに潜んでいた兵士たちを殲滅し終えたツクエがやってきた。
「こっちはあらかた終わりだ。人っ子一人出て来やしない」
「そうかい。こっちも終わったぜ。大分遅くなっちまったが、北の都で集合だったな」