聖なる樹の裏手にヘウドゥオスとヤーマスッドがいた。
「ジュカ様、お聞きになりましたか。暗黒魔王の最期を」
「その呼び方は止せと言ったろう――知っている。公孫威徳が石に封じ込めた」
「その石とは?」
「おそらくレアの力、”Another Dimension”ではないか。ヤーマスッド、石に興味があるのか?」
「お止し下さい。私はこの世界の創造主であるArhatsの力などには興味ございません」
「愚問であったな。では何故その話題を口にする?」
「私が興味あるのは、どのようにして威徳がその石を手に入れ、その力を行使する事ができたかでございます」
「ふむ、レアが威徳に伝えたか。とするとレアはこの『九回目の世界』を認めている訳か」
「ほお、どうやら噂は真実のようでございましたな。レアはArhatsの中でも特別な存在、他のArhatsでも実際にお会いした方がいないというのは」
「……さあな、それよりヤーマスッド、『九回目の世界』が認められているならば、お前の計画にも都合が良かろう――いつか出現するはずの銀河を統一する覇王を倒し、最後の勝者になろうというお前の姑息な計画とな」
「姑息ではございません。効率的とおっしゃって下さい」
それきり二人はしゃべらなかった。樹は何も語らず、佇んでいた。
別ウインドウが開きます |