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5 一年後
知らぬ間に月日は過ぎる。
ぼくは大学に戻って学生生活を続けている。
美夜は、ぼくと大森で暮らし始めたけど、ある日、突然に「あたしも大学に行く」と言い、図書館の仕事を辞めた。
そんなぼくらに救いの手を差し伸べてくれたのが、新・帝国だった。
美夜もぼくも新・帝国の嘱託職員として雇用してもらう事になり、経済的な心配はなくなった。
職員といっても、セキやコウと同じで事があった時だけ行動するという至って気楽な任務だった。
それほどぼくの周りは平和だった。
でも本当にそうだろうか?
この星に関して言えば、釉斎先生の暴露によって、地下組織の存在が白日の下に晒され大騒ぎになった。
アメリカに逃げ出したもう一方の組織のリーダー、村雲何とかはまだ健在だった。
釉斎先生のやる事は信用置けるけど、村雲何某はまた悪巧みをするんじゃないか。
そうなった時には美夜やぼくは出動するのだろうか。
美夜はまだしも、ぼくは戦闘員としては全く使い物にならないのに。
マリスの新・帝国だって、まだ火種を抱えている。
もしもこの星の近くで戦いが起こった場合、やっぱり出動しなければならないのか。