2 ジウランのエピローグ

4 門前仲町

 ぼくと美夜は連れ立って門前仲町の屋敷を訪ねた。
「あら、美夜ちゃん。それにジウランさん」
 応対に出たもえおばさんは嬉しそうな表情を見せた。
「ご無沙汰してます。おばさん」
「いつ来るかと首を長くして待ってたのよ。さ、上がって、上がって」

 
 もえは二人を客間に案内して、しばらくしてお茶菓子の準備を携えて再び客間に現れた。
「会いたかったのよ。デズモンドさんは何日か前に来てくれたけど、あなたたちは一向に連絡くれないんだもの」
「ねえ、もえおばさん。もしかしてあっちの世界の記憶があるの?」
 美夜が尋ねると、もえはお茶を注ぐ手を休めて答えた。
「何、あっちの世界って?」
「ううん、何でもない。例えばセキのいない世界って想像した事ある?」
「あら、いやだ。そんな縁起でもない――でもそんな夢をいつだか見た事あったわね。それに……」
「それに何?」
「セキがしきりに言うのよ。美夜ちゃんとジウランさんは命の恩人だって。どうしてもお礼を言いたいって」

 
「その通りだよ」
 セキが二人の小学生くらいの子供の手を引いて部屋に入ってきた。
「さ、アウラもヒナもお礼を言いなさい」
「えー、お父さんが先だよ」
「わかった、わかった。まず僕からだ――ジウラン、美夜ちゃん。君たちのおかげで僕らは今こうしてここにいる。ありがとう」
「いえ」とぼくは答えた。「あなたたちがこの銀河のためにしてきた事に比べれば大した事じゃありません……というか、ぼくはほとんど何もしてません。じいちゃんや美夜に引っ張られていただけで、未だに何が何だかわからない状態です」
「デズモンドがここに来て言ってたよ。『さすがは我が孫だ』って」
「ちぇ、調子いいなあ。散々戦力外とか言ってこき下ろしてたくせに」
「ジウラン。それはデズモンドの照れ隠しだって。本当は君の事を自慢したくて仕方ないんだ」
「うーん、まあ、そういう事にしておくよ」
「そう、それでいい――ところで今日は君と美夜ちゃん、二人の門出を祝う、いいかな?」

 

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