ジウランの航海日誌 (16)

 
 がらんとした広間は半分瓦礫の山で半分は無傷だったが、そこにはじいちゃん、マリス、アイシャ、デプイ、ぼく、そして眠ったままの美夜が残った。
 アイシャとデプイがやってきた。
「あたしたちも行くわ。『事実の世界』になってもマリスは覇王なんでしょ。色々と準備をしなくちゃ」
「では私も」
 マリスが立ち上がったのをじいちゃんが制した。
「お前はここに残れ。まだやるべき事がある」
「しかしこの世界はもう終わって――」
「もうすぐやって来る創造主に会っていけ。そうすりゃ次にやるべき事を教えてくれるよ」

 
 マリスがアイシャたちを見送りに行くと、今度はじいちゃんが立ち上がった。
「さて、わしは行くぞ」

 えっ?

「何を驚いた顔をしてる。結局この戦いの鍵はお前だった。だからお前とマリスが創造主に会い、話をする権利を有している。最初、わしはお前を戦いに巻き込んだのを後悔したが、お前には幾度となく助けられた。ここからはお前が中心だ」
 何言ってんの?そうだとしてもここにいればいいじゃない?
「馬鹿だな。もう忘れたのか。『事実の世界』が戻ればあいつとの最終決戦が待っている。お前とマリスで力を合せて藪小路を倒さにゃならんぞ。わしらはその準備もあるし、先に帰っているよ」

 わし・ら?

「心配するな。『事実の世界』が戻っても美夜さんはお前の事を覚えてる。それともお前は自信がないのか?」
 うん、大丈夫だとは思うけど――

 
 じいちゃんは美夜を軽々と背負うと、出口に向かって歩いていき、途中で振り向いた。
「ところでジウラン。『クロニクル』はどこまで読んだ?」
 どこって9-8までだよ。全部読んでるよ
「そうかあ。不思議には思わなかったか。どうして他のエピソードと違って9-9がないんだろうって」
 どういう意味?
「それはな。9-9はお前が記録者だからだ。ここまでのお前が残した日記、そしてここからの戦いの記録、お前以上に適任はおるまい?」

 

登場人物:ジウランの航海日誌

 

 
Name

Family Name
解説
Description
ジュネパラディス《花の星》の女王
ゼクトファンデザンデ《商人の星》の商船団のボディーガード
コメッティーノ盗賊
ハルナータ《賢者の星》の最後の王
アダンマノア《オアシスの星》の指導者
エカテリンマノアアダンの母
リチャードセンテニア《鉄の星》の王
ニナフォルスト《巨大な星》の舞台女優
ジェニーアルバラード《巨大な星》の舞台女優
《巨大な星》、『隠れ里』の当主
陸天《念の星》の修行僧
ファランドール《獣の星》の王
ミナモ《獣の星》の女王
ヌニェス《獣の星》の王
マフリセンテニアヌニェスの妻
公孫転地《武の星》の指導者
公孫水牙転地の子
ミミィ《武の星》の客分
王先生《武の星》の客分
ランドスライド《精霊のコロニー》の指導者
カザハナ精霊
アイシャマリスのパートナー
デプイマリスのパートナー
マリス覇王を目指す者
マルマリスの父
ツワコマリスの母

 

 Chapter 9 最後の戦い

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