9.1. Story 2 エニクは語る

2 銀河の歴史

 リンは十メートル四方のプールの形のような箱庭の前にいた。時折、龍の顔をしたウルトマや背中に翼の生えたモンリュトルがリンの下にやってきて話をしていった。誰もいなくなるとリンは部屋のどこかにいる塵ほどの大きさの空海に話しかけては笑った。

 
 神殿風の建物の中にジノーラがやってきてリンの隣に立った。
「どうだね、リン。創造主の仕事は慣れたかね?」
「あ、ジノーラ。ちょっとずつだけど。まだ時間の経過には慣れないな。こっちではほんの僅かの時間なのに箱庭の中では二年くらいが過ぎてたりする」
「ふむ、頑張らないといけないね――マザーの具合はどうかね?」
「こっちに戻ってきてから大分持ち直したみたいです。相変わらず寝てる事が多いですけど」

「なるほど、君とマザー、それに六人のArhats、全部で八人か。いい勝負になりそうだ」
「何の事ですか?」
「いやね、今日は君に是非会って話をしたいというお客さんを連れてきたのだよ。全員、ここにいるかい?」
「……マリスも必要ですか?」
「銀河覇王も君の仲間という訳だね。いや、マリス君やセキ君たちには必要な時に伝えてくれればいいんじゃないかな」
「必要な時?」
「まずは話を聞いてもらおうか」
 いつの間にかウルトマを先頭にアウロ、モンリュトル、ニワワ、ヒル、マーがリンの傍に集まっていた。

 
 黒髪を無造作に束ねたエニクが現れてリンの前に立った。
「やあ、エニク」
「アーナトスリの件ではお世話になったわね」
「――あんな事はしたくなかったけど乱暴な人は許せなかった」
「同感よ」

「今日は何の用?」
「そんなに身構えないで。ケンカしに来た訳じゃないの」
「リン」とジノーラが口を開いた。「エニク君の提案を聞いてはもらえないか?」
「いいよ。でもその前にこの銀河がどうやって造られたか、創造主から直接聞いてみたいんだ」
「お安いご用よ。新しい創造主は引き継ぎを求めているって事ね」
「そんな。偉そうなもんじゃないよ。ただ造った人間の苦労を知らないでこの銀河の人たちを守るのはちょっと違うかなって思っただけだよ」

「あなた、本当に面白いわ。じゃあ話してあげるから、その代わりその後の私の本題も聞いてね」
「もちろん」

 
 エニクが床の上に胡坐をかいたので、リンもその前に座った。ジノーラと他の創造主たちはすでに知っている話のためだろうか、箱庭を見つめたり、ぶらぶら歩きをしたりして、時間をつぶし始めた。
 エニクが静かに話し出した――

 

【エニクの語り:銀河の創造】

 ――何から話せばいいかしらね。
 まずはこの箱庭。目の前にあるのは通称『天の川銀河』、世界にあまた存在する銀河の一つよ。
 どうしてこんなに小さいのか――ここに正しい形で来たあなたならわかってるわよね。次元が変わればこの箱庭は通常の銀河の大きさだし、正しい形でここに来る事ができなければ、あなたのお友達やあなたの息子たちみたいに芥子粒のような存在になってしまう。
 この建物以外にもこういった箱庭を備えた建物は無数に存在していて、それぞれの箱庭が銀河として様々な名前が付けられているわ……『ファニルナス銀河』、『三十五柱銀河』、『ガモ界』。
 そういった銀河を造り、管理しているのが通称『上の世界』で、それぞれの管理者たちはチームを構成し、『創造主』とか『Arhats』とも呼ばれている。

 
 私たち十一名からなるチームは「適切な世界の支配と隷属のモデル」構築を目指したの。
 箱庭を造っては壊す、その繰返し、ちょうど八回目の世界を構築し、この世界の観察を継続するか、破壊しようか検討している時だったわ。
 確かギーギだったと思うけど、そうじゃなかったかもしれない、ある事実に気付いたの。
 世界を構築し、壊す時には全てのエネルギーを解放するのが決まりとなっていたのだけど、アーナトスリはそれをしてこなかったの。それも七回も。
 箱庭の底を調べたら、とんでもない量のエネルギーが蓄積していたわ。

 早速、このエネルギーをどうするか検討した。
 チエラドンナは「間抜けのやった事の後始末なんかしたくない」っておかんむりだったけど、最終的には「これだけの量のエネルギーをある一点に向ければ世界は変わるんじゃないか」という結論に達したの。
 おかしな話だけど、この事態を引き起こした張本人のアーナトスリだけは「そんなもんで世界が変わるはずがない」って否定的だった事ね。彼にとってエネルギーはあくまでもエネルギーであって、それが何かを生み出すとは想像したくなかったみたい――結局、その時の考えの隔たりが私たちの敗因につながったのかもね。

 
 私たちは急遽「蓄積したエネルギーが世界に及ぼす影響」というテーマを評議会に提出した。
 ここにいるジノーラ先生を始めとするおじいちゃんたちは大喜びだったわ。よく私たちを気まぐれと言う人がいるけど、私に言わせれば彼らの方がよっぽど気まぐれでわがまま。当初の研究テーマから逸脱していたって、新しいものであれば飛び付くんだから。

 そしてこの溜まったエネルギーを発現させる計画を秘かに「ナインライブズ」と名付けたの。九回目の世界に敬意を表してのものなんだけど、その当時はまだ八回目の世界だった。言ってる意味がわかるかしら。私たちは八回目の世界を捨て去る決断をしたの。しかもその際にエネルギーが発現するかもしれないと思って、通常では考えられないような酷いやり方で世界を終わらせた――ワンデライはすごく怒ってたわ。
 結局その時のトラウマで巨人たちは九回目の世界での積極的な役割を担うのを拒否したんだけど――まあ、これは関係ない話ね。

 

「ここまでは八回目の世界で私たちがナインライブズを生み出すエネルギーに気付くまでの話。何か質問は?」
「どうして君たちは世界を創造するようなすごい力を持ってる訳?」
「あら、『だって持っているから』としか答えようがないわね。あなたたちでもそうでしょう。歌が上手い人、絵が上手い人、お金を稼ぐのが上手い人、もっと言えば、あなたたち七武神だって素晴らしい力の持ち主じゃない。それを『どうして?』って聞かれても答えられないでしょ?」

「それもそうだね。具体的にはどうやって力を使って世界を創造するの?」
「最初にレアが次元を決めてくれるわ。そこにオシュガンナシュが空間を、私が時間を決める。できた空間にバノコが大地や海を造るのが第一段階。次にウムナイとウムノイが生命を生み出す気、エーテルと呼ぶ人もいるわね、を注入すると生命が活動を開始する。出現した生命にジュカが寿命を与え、チエラドンナは運命を授け、この二つによって生命の突然の変化や進化が決まってくるの。生命の誕生と死、出発点と終着点を管理するのはワンデライ、彼は過去の世界の生命を新しい世界に放ち、世界を終わらせる時に救い上げる役目も担っているわ。そうして全てのもののサイズをグモが決め、この世界を他の世界とつなぐのはギーギ。最後にアーナトスリがエネルギーを注ぎ込むと箱庭は活動を開始するのよ」
「すごいね。こんな人たちに勝てるはずないや」
「何言ってるのよ。アーナトスリを消滅させ、私たちをここから追い出したのはあなたでしょ」

「ううん、本当に感動してるんだ。だってワンデライがすでに完成した生命を新しい世界に持ってくるんだったら――」
「あなたたちの多くが信じる進化論は成り立たなくなるわね。もちろん原始的な細胞を高等な生き物に段階的に進化させる世界も造れるけれど、それは二回目の世界でやってしまったし、私たちの研究テーマではなかったの」

「《智の星団》では全く僕らとは違う形で進化が行われていたけど、あれはまっとうなの?」
「あの辺の星は私たちの直接の研究テーマには関係なかったから放置していたの。そうしたらあんな有様、もちろんまっとうな進化よ。だけど私たち創造主も自分たちに似ていない姿形の生き物にはあまり愛着が持てなくて、私たちに似るように軌道修正をする場合が多いわ」
「『神は自分に似せて人を造った』のは本当――似ていない場合は似るように干渉するんだね」
「それは何?」
「何でもないよ」

「その次、今の九回目の世界の話も聞きたいかしら?」
「もちろん。お願いします」

 

【エニクの語り:三界の諍い】

 ――八回目の世界までに『強き者』と『弱き者』、『守る者』と『守られる者』という構図は散々経験したから、九回目の世界は弱き者に支配をさせる事にしたの。
 弱き者同士が争ったらどうなるか、『空を翔る者』、『水に棲む者』、『地に潜る者』を配置したわ。精霊と龍はあくまでもアクセント、そして文字通り、何も持たない『持たざる者』、基本はその六種族だった。
 ワンデライが気を利かせて、お気に入りの前の世界の生き残り、『沼地に住む人』、『胸穿族』、巨人や聖獣や異世界獣も適当に銀河に配置して観察を開始したわ。

 
 素晴らしい世界だった。六種族それぞれに素晴らしい指導者が現れ、協力して銀河を盛り上げた。
 でもそれでは実験の意味がなかった。私たちは急遽、六種族の代表、ウルトマ、アウロ、モンリュトル、ニワワ、ヒル、マーを『上の世界』にArhatsの仲間として連れ帰ったの。そうして残された者たちがどのように争うかを改めて観測する事にしたわ。その時に《古の世界》という新たな実験場所を造ったの。微調整ってやつね――

 

「六人の創造主に巨人やワンガミラがいないのはそういう理由だったんだね?」
「うふふ、想像に任せるわ。話を続けるわよ――

 

 ――最初は選ばれた実験場、《古の世界》で支配層たちを競わせる事によりナインライブズが発現しないか。『三界の諍い』という奴ね。
 私たちは慎重だった。その過程でナインライブズが出現すればとてもラッキーだったけど、まずはああいった小さな星で実験を行い、しかも万が一に備えてナインライブズを消滅させる仕組みまで用意したの。

 

「その時にすでにケイジを?」
「そうよ――

 

 ――ところがここに予想外の要素が加わった。一つはあなたもよく知ってる銀河を簒奪しようと企む者の存在、そしてもう一つはサフィという素晴らしい人物がよりによって使役される側でしかないはずの持たざる者の中に誕生した事。

 この『三界の諍い』にはいくつかチェックポイントを設けたわ。最初は精霊の登場によって三界はどう行動するか、これについては予想通り、その力を争いに利用した。
 でも二つ目の龍の登場に至って予想は大きく覆されたの。
 サフィを気に入ったマックスウェルが余計な事をしたのもあるけど、サフィの力によって世界は争いを止めてしまったんだから。

 私たちはこの結果を冷静に受け止めた。もちろんジュカ、グモ、ウムナイ、ウムノイみたいに元々被創造物にあまり好意的ではない者もいるけど、皆に共通するのは予想外の結果が大好きだって事。だからこのまま観察を続けてもいいんじゃないかって思ったわ。
 でもアーナトスリだけは違った。ナインライブズは膨大なエネルギーの放出に過ぎないと信じたアーナトスリはせっかくの実験場を破壊した――

 

「そんなすごい人間に勝ったのは奇跡だね?」
「よく言うわ。『星を破壊する者』と『星を復活させる者』の戦いだってバノコは大喜びしてたわよ――

 

【エニクの語り:サフィの旅】

 愚かなアーナトスリよりもサフィの方が一枚上手だった。いち早く、持たざる者をまとめ上げ、新しい地に旅立ったの。サフィとその弟子たちに導かれた人々が銀河の様々な星に到着し、今の銀河の繁栄の礎を築いていった。
 ここでも予想外の要素、アビーが何を血迷ったのか、『下』に降りた事、そしてサフィがケイジと出会った――

 

「サフィとケイジが会った事が予想外の要素?」
「そうよ。サフィとケイジは偶然、美しい《青の星》を見てしまった。そのために記憶を失ったケイジの行先としてあの星が選ばれたの」
「それが予想外?」
「だって、ナインライブズの住処だったあなたとそれを阻止する役割のケイジが師弟関係になるなんて予想できなかったわよ――

 ――でも一番予想外だったのはサフィの行動だった。サフィは精神だけの存在になって長い時間をかけてこの銀河に意識のネットワークともいうべきものを構築し始めたの。

 

【エニクの語り:混沌の覇者】

 ――私たちはナインライブズ出現の方法を模索した。
 次に着手したのは善と悪の対立によりナインライブズが発現しないかという実験。
 実験場は《享楽の星》。
 ちょうどその近辺に閃光覇王、起源武王、そして公孫威徳という優れた人間が生まれていたから空白地帯だった《享楽の星》を選んだの。

 まずウムナイ、ウムノイ、ワンデライ、チエラドンナが協力して善の存在である聖なる大樹をチオニの都に茂らせたわ。
 次にジュカが悪の存在であるドノスという人物を造ったのだけれど、ここでもサフィの力が働いたの。
 ドノスは純粋な悪の存在でなければならなかったのに、サフィが変な願をかけて、ここにいるマーたちがそれに答えたためにドノスの悪の力が不完全になった。
 仕方なくジュカは『下』に降りてドノスを矯正したけど、ドノスは使い物にならなかった。私たちは早々とこの計画をあきらめざるをえなかったわ。
 ドノスは生かしておく事にした。そしてシロンも。そうすれば長い年月の後に何か面白い事が起こるかもしれなかったから――

 

「ねえ、エニク。登場人物に暗黒魔王がいないけど」
「そうね、きっとそれはこれから起こる未来に関係してるのよ」
「未来に?」
「さ、続けるわよ――

 

【エニクの語り:銀河連邦】

 ――次に私たちが考えたのは銀河の完全な支配層に成り上がった持たざる者たちに褒美を与える事。
 これは私の発案だったわ。
 それに気付いたアビーも協力してくれて、七聖人とか《七聖の座》といった大げさな舞台装置を作って、『銀河の叡智』という飴を上げたの。
 これによりこの箱庭は大きく発展した。調子に乗った持たざる者の銀河連邦という組織が何をしでかすか、少しの間待ったけど、大した成果はなかったので『銀河の叡智』は止めにした。

 この時代の予想外の要素は何といってもノカーノ。銀河を簒奪しようと企む者をほとんど消滅に追い込んだ。
 でもそれは例のサフィの意識による銀河を覆うネットワークの計画にも多大な影響を及ぼしたはず。
 ノカーノに嫉妬したデルギウスが意識のネットワークに参加せず、自らの家名を守るという俗物的な行動に出たのだから。

 ああ、後はデズモンド・ピアナの存在も忘れちゃいけいわね。様々な星に行き、ノカーノに導かれて《青の星》に移り住み、ついにサフィの意識と触れ合う事に成功した。生身の肉体を持ちながら、銀河の歴史に最も精通する人間と言って差し支えないわ――

 

「エニクは話が上手だね。わかりやすいや」
「それはどうも――

 

【エニクの語り:シニスター】

 ――私の用意した飴玉ではやはりナインライブズは発現しなかった。となれば次に用意するのは過酷な運命。あなたの故郷では『アメとムチ』って言うんでしょ。
 まず初めにグモ、ウムナイ、ウムノイが下の世界に降りて『ウォール』と『マグネティカ』により銀河を分断した。
 次にチエラドンナが『シニスター』と呼ばれる、人間の邪悪な心を引き出す滴を撒いたの。
 このあたりから予想外の事が起こりすぎて私たちもよくわからなくなっていった。でもそれこそがナインライブズ発現に近付いている証拠だとも言えたけど。

 最初の予想外の出来事はここにいる先生がひどく『下』に興味を持った事。先生は私たちの指導教官だからひどく驚いたわ。
 次の予想外はチエラドンナが大都と恋に落ちた事。
 もちろん最大の予想外の出来事はリン、あなたの存在よ。ノカーノの血を引く者が突然力を発揮し出したんですもの。
 しかもナインライブズはあなたの中に宿った。
 とうとうナインライブズが発現しようという時、あなたの残った意識がそのナインライブズをコントロールして全く違うものに変容させてしまった。
 恐るべし、リン、といった所ね――

 

「そんなに偉そうなもんじゃないよ」
「ねえ、リン。どうしてあの時、正しいナインライブズを出現させようとしなかったの?」
「……んー、まだその時じゃなかったからかなあ」
「確かに銀河の上半分しか制圧してなかったものね。でもあなたの力があればいつかは下半分も制圧できたでしょうに」
「自分の寿命が僕の星の普通の人間と同じだと思ってたから子供たちに委ねる事にしたんだよ、きっと」
「あなたにも予想できない事があった訳ね」

「それに――」
「何?」
「嫌な予感がした。そのまま進んだら大切な何かを失くすんじゃないかって――」
「そうね。あの時にケイジが使命に目覚めてA9Lが発動してたら、勝っても負けても悲惨な結果。きっとナインライブズは一たまりもなかったでしょうけど。そういう意味では慧眼ね」

 

【エニクの語り:実験完了】

 私たちはひとまず胸を撫で下ろしたわ。だってナインライブズが発現するであろうという事が確実になったんだもの。
 でもアーナトスリは違った。ナインライブズは純粋なエネルギーの放出以外のものではないと頑なに信じ込んでいたの。何かもっと崇高な存在になるのは許せないって感じてたみたい。
 彼はもう実験はいい、今すぐ九回目の世界を終わらせようと主張し、私たちとの間の溝は埋めようがなくなった。血の気の多いギーギとかは今すぐ彼をはずそうと言ったけど、私やバノコが必死になってそれを止めたの。

 そうこうしている内にあなたの子供たちが真のナインライブズ、箱庭を一段上に引き揚げる遍く叡智の発現、を見せてくれた。
 私たちはその結果に満足して油断していたの。
 まさかあなたがここに来るとは思ってもいなかった。きっとそれこそが最大の予想外の出来事ね――

 

「だって君たちが用のなくなった銀河を消滅させるのは予想できたもん」
「君たちじゃないわ。それを主張したのはアーナトスリだけよ。あんな” Catastrophe ”なんて石を仕込んでたなんて本当に知らなかった」
「ウルトマたちにも確認したけど、そうみたいだね」
「わかってもらえて嬉しいわ。あの時、私たちはあなたに『消される』と直感した。オシュガンナシュが機転を利かせて別の空間に私たちを退避させてくれたからかろうじて生き残れたの」
「手ごたえがなかったんだよ。あの一瞬で別空間に全員を移動させたオシュガンナシュはすごいね」
「それはそうよ。彼は胸穿族の最高傑作だもの」
「えっ、どういう事?」
「いいじゃない、別に。とにかく私たちはこの箱庭を手放さざるを得なかった――

 

【エニクの語り:石を巡る冒険】

 先生は行き場を失った私たちを気の毒に思って色々と助けてくれたわ。あなたを怒らせる原因を作ったくせに、いち早く姿をくらましたアーナトスリを探すために『下』に降りたワンデライたちに助言を与え、石を使ってアーナトスリを炙り出す事にした。
 そして見事にマリスがその栄誉に預かり、のこのこと現れたアーナトスリはあなたとマリスによって消滅させられた。
 マリスは銀河覇王になる決意を固め、あなたは新たなる創造主として彼を助けている――

 

「うーん、大体そんな感じだね」
「デズモンド・ピアナが『クロニクル』の新版を出せるレベルでしょ。でもここから先の章立てはあなたも予想がつかないはず。銀河覇王の誕生を綴るだけだと思っていたらそれは大きな間違いよ」

 

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