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5 《鉱山の星》
かつて辺境と呼ばれた《鉱山の星》にアルバラード財団病院があった。
少女期をこの星で過ごした七聖人ジェニーがリンの妻ニナと共に財団を設立し、建てた病院だった。
今、この病院で一人の青年が病室に恋人を見舞っていた。
青年の名はニコ、この星で採掘技師をしていた。ブリジットという名の恋人と共に《灼熱の星》から一山当てるために移住した。
ところが突然ブリジットが倒れたきり、目を覚まさなくなった。
ブリジットを診察した医師は首を捻った。原因も治療法も見つからない――昏々と眠り続けるブリジットを前にして医師はニコにそう告げた。
今日も目を覚ます気配のないブリジットを見舞ったニコはその足で鉱山労働者たちの溜まり場の酒場に顔を出した。
「よぉ、ニコ」
マスターが声をかけ、それに続いて常連客らしき男たちが口を開いた。
「感心だな。また病院か?」
「ああ」
「しかしなあ。医者がヤブなんじゃねえか」
「そんな事はないよ。よくやってくれているさ」
「おれも知り合いに聞いてみたんだが、原因に心当たりはねえって言うしな。《エテルの都》にでも行けばもっといい医者がいるかもしれねえぜ」
「そんな経済的な余裕はないよ」
「あーあ、今流行りの石でも揃えばな。《鉱山の星》って名前なのにそんな石が掘り出されたって話も聞かねえし。やっぱこの星は見捨てられてんのかな」
「……石……それは何の話だい?」
「それどころじゃねえもんな、ニコは――この銀河に散らばる創造主の力を秘めた十八個の石を集めると何でも願いが叶うんだとよ」
「……余裕のある人間じゃないと、銀河を旅するのは無理さ」
「ははは、正直者だな、ニコは。考えてもみろよ。一個でも石を持ってりゃ他の誰かは十八個集める事はできねえだろ。となれば、石を持った奴の方からやってくるって寸法だ。待ってりゃあいいんだよ」
「……」
ニコはある決意を胸に、一人きりの家に帰った。物置に雑然と置かれた鉱石の山から青と黒に光る石を見つけ手に取った。
「――創造主マーの『竜脈の石』」
『血涙の石』:マリス所有 『戦乱の石』:レネ・ピアソン所有 『虚栄の石』:公孫風所有 『変節の石』:ビリンディ所有 『全能の石』:ゾモック所有 『竜脈の石』:ニコ所有
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