7.2. Story 1 World Destruction

2 宴の終焉

 同じ頃、東京の地下でも二人の男が向き合っていた。
「しかしロロもとんでもない事をしてくれたものだ」
 一人の男が言うともう一人の男が答えた。
「危険な思想の持主を野放しにしたディック・ドダラスの責任だ――だが良かったではないか。これで又、連邦加盟は当分見送られるし、ドリーム・フラワーの責任追及も有耶無耶になる」

「下手をすれば地球は破滅だぞ」
「果たしてそうか。新宿の一件と同じく壊滅寸前で回避されるのではないかな」
「……リチャード・センテニアか、あるいは文月の息子?」
「私の予想では文月の息子たちが本格的に活動を開始する。なかなか強い者もいるらしい」

「また文月か。忌々しいな――それより藪小路、パンクスについてだが」
「どうかしたか?」
「『どうかしたか』ではない。新宿で唐河に止めを刺したのはティオータだという情報が入ってきておる。向こうは本気で戦おうとしているのではないか?」
「かつての上司であるティオータが部下を諌めただけだ。大げさに騒ぐ事ではない」

「……それに久の件もある」
「何だ。村雲、孫はまだ見つからないか?」
「ああ、もう一月以上も音信不通だ」
「おそらくもう生きてはいまいな」
「あいつらがやったという証拠があればいいのだが、相手がケイジでは姿を見る事すらできない」
「久は調子に乗り過ぎた。ドリーム・フラワーなどに手を染めたから制裁を受けたのだ。私やお前のように極力表に姿を見せず、慎重に生きていれば落とし穴に落ちる事もない」

「くそっ。とにかくパンクスだ。今度の騒ぎでどう出るのか」
「表向きは共闘が続くが、アンビスは滅ぼされるかもしれないな。ディック・ドダラスはともかく、ヨーロッパのドリーム・フラワーに関わったであろうオットーたちには注意するように言っておいた方が良い」
「藪小路、お前は動かんのか?」
「何故、動く必要がある――私はこの愛する東京が破壊されない限りは何もせんよ」

 

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 Story 2 王の誕生

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