6.9. Story 2 後日談

2 新体制

 

水牙とジェニーの結婚

 《武の星》、開都、季節は真冬、雪のちらつく中で水牙とジェニーの結婚式が執り行われた。
 コメッティーノはヴィーナスを連れていた。銀河一と呼ばれる美貌を誇るヴィーナスは周囲の視線を独り占めにして微笑んでいた。その横にはリチャード、ゼクト、ランドスライド、そしてリンは六人の婚約者と一緒に照れくさそうにしていた。

「おい、ランドスライド。オンディヌとシルフィは?」とコメッティーノが尋ねた。
「コロニーを離れられないのでヴィジョンを送るって」
「ふーん」と言って、コメッティーノはリチャードの方をちらりと見た。「ところでリチャードよ、エスティリが戻ったんだってな」
「ああ、つい先日だ。今頃はサラと引き継ぎの最中だ。二人とも式にはヴィジョンで参加すると言っていた」
「サラちゃんも少し楽になるなあ――おっ、ゼクト。お前の待ち人が着いたぜ」
「何だと……あ、ああ、何を言い出すんだ、お前は」

 ゼクトは真っ赤になって駆け出した。駆け出した先には白いドレスに身を包んだ白い翼のアナスタシアが立っていた。
「アナスタシア」
「ゼクト様。兄がどうしても所用で来れないので、私が代わりに参りました」
「ああ……あの、あの、自分がエスコート致します」
 コメッティーノは笑いながらこのやり取りを見ていた。
「次はあの二人か」
「ねえ、コメッティーノ」と言ってリンがコメッティーノの傍にやってきた。「話があるんだけど――あ、式が始まるみたいだから、後でね」

 

コメッティーノの演説

「盛大な式だったようですな」
 そう言って、イマームがお茶のカップを片手に席に着いた。
「ああ、銀河が一つの大きな仲間になったって気がしたぜ」
「これで連邦の運営に専念して頂けますな」
「……あ、ああ」
 コメッティーノは歯切れが悪かった。

「あら、イマーム」とヴィーナスが口を挟んだ。「まだ銀河は上半分しか管理できていないのよ。あたしの叔母の住む《魅惑の星》も大変みたいだし、ゼクトの《戦の星》もそう、そして《享楽の星》が控えているわ」
「ああ、そうだなあ」
 コメッティーノはヴィーナスの助け舟に対しても歯切れが悪いままだった。
「どうしたのよ、普段なら『そういうこった。まだ戦いは続く』とか言うじゃないの?」
「……いやな、もう戦えない奴がいるんだよ――お、時間だ。それじゃあ演説してくらあ」

 
 コメッティーノが去った後、イマームとヴィーナスは互いに首を傾げた。
「戦えない……とは?」
「ああ、そうか。リンが戦いの最前線から退くって事ね」
「確かに痛手だ。すぐにでも《享楽の星》に行けそうな勢いだったが、十年どころの遅れではないな。下手をすれば永久に辿り着けないかもしれないぞ」

 
 皆のおかげで『銀河の叡智』を復活させる事ができた。今やこの銀河は、と言っても上半分だけだが、一つになろうとしている。
 もう二度と腐り切った連邦に戻すつもりはない。そのための体制をこれから発表させてもらう。

 

 虚栄の星統括兼精霊のコロニー管理:ランドスライド
 灼熱の星管理:ファイアストーム
 武の星統括兼連邦将軍武の星方面担当:公孫水牙
 将の星統括兼連邦将軍:附馬烈火
 牧童の星統括兼連邦将軍:ジェニー・アルバラード
 火山の星管理:ボルケーノ
 巨大な星統括:ジャンルカ・センテニア
 同東部管理:ジョン・バロウズ・レーブ(JB)
 同南部管理:アーネスト・ドウェイン
 同西部管理:サミエル・アトキンソン
 同北部管理:ジーノ・ルカレッリ
 守りの星管理:パパーヌ
 オアシスの星統括:アダン・マノア
 鉄の星統括:サラ・センテニア
 銀の星統括:エスティリ・ブライトピア
 花の星、再生の星統括:ジュネ・パラディス
 エテルの都統括兼連邦将軍:ゼクト・ファンデザンデ
 同副統括:ニナ・フォルスト

 地底の星全権:ネアナリス
 海の星全権:珊瑚
 青の星、ネオ・アース代表:文月源蔵
 同副代表:文月沙耶香

 連邦軍総司令:ウェイン・ホルクロフト
 同副指令:ラカ・ジョンストン
 連邦将軍七聖の座方面担当:ルイ・オサーリオ
 連邦将軍ダレン方面担当:オリヴィエ・シェイ
 連邦将軍虚栄の星方面担当:ディスプローズ
 連邦特殊部隊:リチャード・センテニア

 連邦副議長:イマーム
 同副議長:ヴィーナス
 同顧問:カーリア・パラディス

 

 そして連邦議長がこのおれ、コメッティーノだ。

 

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