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3 Mutation
チオニの戦闘から千年、夜叉王の復讐を懼れたドノスは人前に姿を現さなくなった。
広大な都を東西南北に分け、それぞれに都督庁を設け統治を任せた。都督庁から王宮に行くのにも幾つもの次元の狭間を作り上げ、簡単にはたどり着けないようにしていた。
ドノスはこの世界に現れた時と変わらない外見だった。絶える事なく行ってきた人体実験を自分にも施したおかげで、とうとう永遠とも言える若々しい肉体を手に入れたのだ。
その臆病さゆえに今日まで生き延び、これからも青年の外見のまま生き永らえていく、そのドノス王が、今、王宮の秘密の部屋で恐怖におののいていた。
ドノスは目の前に突然現れた三人の男におそるおそる問いかけた。
「あなた方は?」
「ドノス、まだしぶとく生きていやがったな」
「……どうやってここに?」
「へへへ。相変わらずぼんくらだなあ」
「……はっ、あなた方はヘウドゥオス様と同じように……Arhats?」
「ははん、ヘウドゥオスがジュカってのは理解してるんだ。長生きするもんだな」
「何をなさりにここに?」
「そんなに怯えんなよ。お前の力を増幅させてやろうと思って来たんだからよ」
「増幅?」
「そこにある” Mutation ”の石の力を増幅させてやるって言ってんだよ。そうすりゃもっと強い化け物が作れるようになるから、びくびくしながら暮らす事なんかねえだろう」
「ほ、本当ですか?」
「いつまでも夜叉王に怯えて暮らすのも飽きたろう。もうちょい、この銀河をかき回してくれなきゃ困るぜ」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ行くからよ。ちゃんとやれよ」
三人の男はかき消すようにその場からいなくなった。
「やっぱ、だめだな。あいつは」
「まあ、ここまでお膳立てしてやりゃ、何かやらかしてくれる」
「まだどっか行くのか?」
「ああ、あと一か所、《神秘の星》だがその前に――」