-
目次
シャイアンとの契約 -
シャイアンは『空を翔る者』の祖、モンリュトルの乗り物で、モンリュトルが創造主に選ばれた際に地上に残したと言われている
その姿は赤銅色をした巨大な鳥で、一度羽ばたけば突風を巻き起こし、銀河の端から端までを一気に駆け抜ける力を持つ
後の世に空を翔る者の皇子リーバルンが契約に成功するが、サフィたちにより即座に封印される
その時の契約の証が『シャイアンの頭石』として銀河のどこかに眠っているらしい -
ウエットボア信仰 -
ウェットボアは、創造主ワンデライが『レースロトル銀河』滅亡の際にそこの創造主から譲り受けた『異世界獣』の一つで、過去の世界から生き続けている
その姿は銀色の鱗に包まれた巨大な蛇で、人の夢の中に現れ、精神を操る
《流浪の星》で神として畏れられ、人身御供として差し出される人間を喰らっていたが、移住してきたニライに打ち負かされる -
テグスターの空穴 -
テグスターは『異世界獣』だが、どのようにして銀河にやって来たかははっきりしていない
虎の姿をして二本足で歩き、圧倒的な力と速さを誇る
《戦の星》で森に足を踏み入れた人間に勝負を仕掛け、これを打ち負かしていたが、エクシロンとの死闘の末、『空穴』と呼ばれる弱点を突かれ、敗北する -
嘘つきの村 -
《虚栄の星》の砂漠にソーンビーと呼ばれる『異世界獣』が住みついていた
巨大なトビネズミの姿のソーンビーは大きな耳で遠くの物音も聞き分け、鋭い歯であらゆるものを噛み砕き、強靭な後脚で驚くべき跳躍をする
又、砂漠の砂を自由自在に操るほどの恐るべき能力も持つが、性格は至って無邪気で単純である
星の住民はいたずら好きのソーンビーの襲撃を避けるため、敢えて物に悪い名前を付ける習慣を身に付けるようになった
例えば『嘘つきの村』という名の正直者が住む村が有名である
ルンビアと戦った際には、水を極端に嫌う弱点を突かれ、敗れた -
雪山の暴れん坊 -
《誘惑の星》は標高によって『ローランド』、『ミッドランド』、『ハイランド』に分かれているが、ミッドランドのトーントと呼ばれる村から続く山を登ったハイランドの雪深い洞窟にヴェリクと呼ばれる『異世界獣』が住んでいた
《魅惑の星》の閃光覇王に征服される事を恐れたハイランドの人々はヴェリクに助力を依頼したが、反対にただ暴れたいだけのヴェリクに襲われてしまう
そこに駆け付けた閃光覇王と覇王剣士隊がヴェリクを討ち取り、星の平和は保たれたと言う -
緑に滅ぼされる星 -
《密林の星》には、緑を守る神ニニエンドルと森を枯らす神ナックヤックという二人の神がいた
星のバランスはこの二人の神によって保たれていたが、一人のワンガミラの剣士がナックヤックを斬り捨てた事により、緑の増殖は止まらなくなり、やがて森が星全体を覆い、星を滅ぼすと言われている -
原初の魔王 -
ルルカは《魔王の星》の名の由来となった原初の魔王である
ルルカは黒ヤギのような姿をしており、饒舌で、人を操り、殺し合わせた
しかしおしゃべりが過ぎたために創造主の不興を買い、舌を抜かれ、遠い宇宙空間に流されたと言う -
暗黒魔王の言い伝え -
《魔王の星》に新たな魔王、暗黒魔王が誕生した頃、エリオ・レアルの子供たちの間ではこんな唄が流行った
りっぱな王さま、空見てた
空から鎧が降ってくるりっぱな王様、鎧を拾い、
体に着けたら、さあ大変くるった王様、みな殺し
血染めの鎧で大笑いもしこの唄の内容が事実であれば、暗黒魔王誕生と時を同じくして行方知れずとなった青年王シュバルツェンブルグの事を指しているのだろうか
-
毒を持った狼 -
暗黒魔王の封じ込めに成功した公孫威徳は、新たに《武の星》に降り立ったがそこはガイサイと呼ばれる狼の姿をした獣が君臨する無秩序な地だった
威徳はすばしこく逃げ回るガイサイを苦戦の末に打ち破り、『開都』という街に平和をもたらした
しかしガイサイの放った毒牙の攻撃の影響により、後年威徳は体を動かす事もままならなくなったと言われている -
都を襲うヌエ -
デルギウスが銀河連邦を設立してしばらくの後、《青の星》の日本という島の平安時代末期にヌエという『異世界獣』が出現した
トラの顔に蛇の尻尾を持つヌエは、時の朝廷を脅かすが如く、夜な夜な御所の上空に出没し、トラツグミのような声で鳴いたという
世界のどこにも存在しない場所から響く鐘の音が聞こえるようになると、ヌエも姿を現さなくなったという -
龍の遊び場 -
《囁きの星》の王都セーレンセンを北に進んだ所に現在は『大秘境地帯』と呼ばれる不思議な光景が広がっている
奇妙な形の巨岩が無数に存在するその場所は、かつての世界で龍や聖獣の遊び場だったものが忘れられたまま現在に残ったのだと言われている -
智の星団 -
銀河には《智の星団》と呼ばれる幻の星団があるらしい
何故、幻かと言えばそこに行って戻った者がいないからである
一説には、幾つもの次元を正しい順序で進んでいかないと、永遠に宇宙の迷子になってしまうそうだ正しい順番とは
・《蟻塚の星》
・《凶鳥の星》
・《迷路の星》
・《機械の星》
の星々を順に訪ねる事である
そうして最後の《叡智の星》に到着した者だけが無事に戻ってくる事ができると言われている -
黒と赤の衝突 -
《蟻塚の星》で行われている行為はシンプルである
黒い蟻は赤い蟻と戦って敗れた赤い蟻を彼らの女王に捧げ、赤い蟻も同様の事を行う
そうして女王は新たな戦士となる蟻を生む
戦う事が全て、この行為に何の価値があるのか疑問であるが、実は我々も似たようなものかもしれない -
進化の新しい形 -
《蟻塚の星》での未来永劫続くと思われた戦いは、片方の女王の死によってバランスが崩れ、全ての生命が滅んだ
新たな入植者となったのはピエルイジとバレーロという男性二名だったが、奇跡が起こりバレーロが妊娠する
これは創造主リンの試みなのだろうか -
私達によく似た家畜 -
《凶鳥の星》には私たち人間と同じ姿をした家畜が飼われていると言う
彼らの知能程度は極めて低く、攻撃性もない事から非常に飼いやすく、食肉用として星全土で広く飼育されている -
不信の迷路 -
《迷路の星》がまだ違う名で呼ばれていた頃、一人の王がいた
王は圧倒的な武力をもって周囲を征服し、やがて星の全ての財産をその手にしたが、敵だけでなく、味方も、肉親でさえも信用しなかった
王は敵が近づけないように王宮の周囲を巨大な迷路で覆った
困難を極めた迷路の工事で幾人もが亡くなり、迷路が完成した時には生き残った人々も殺されたそうやって徹底的に民を惨殺した王も、自らの寿命について思い悩む時がきた
最後に出した命令、それは全ての人間が自らの亡骸と全ての財宝と共に、誰も辿り着く事のできない深い穴の底に赴く事だった
再びの難工事で多くの人が死に、王自身も亡くなった穴が完成した時には星には数百人しか生存者がいなかった
残った数百人は王の亡骸と全財宝を車に積み、底知れぬ深さの穴に降りていき、誰も戻る事はなかった
こうして《迷路の星》は無人となった -
最良の決断 -
はるか昔、《機械の星》は高度な文明を誇っていた
人々は全ての仕事を機械に任せるようになり、一人の天才科学者が究極の機械、メサイアを造り上げた
メサイアは本来人間が行うべき、政治、経済、社会的な事項について、最良と判断される意志決定を、その優秀な演算処理装置によりやってのけた人々が何もしなくなったある日、メサイアは「この星の人間を滅ぼすべし」という最良の意志決定を下し、人々を滅ぼした
こうして《機械の星》にはメサイアしかいなくなった