エニク、ジノーラ、そしてリンが話に花を咲かせていた。
「リン、おめでとう。完全勝利が見えたわね」
「ありがとう、エニク。それにしちゃ口惜しそうじゃないね」
「初めから半分あきらめていたから」
「勝負の一方で着々と実験を進めるなんてさすがは創造主。転んでもただでは起きないね。大分成果はあったんじゃない?」
「おかげさまで。そういうあなただって勝負にかこつけてやってくれたじゃない」
「まあね。しがらみのないケイジってどんな武人だろうって思ったんだ」
「さて」とジノーラが口を開いた。「リンがそこまで理解があるなら、もう一つ甘えさせて頂こうかな」
「何を企んでるの?」
「最後の舞台はずばり『リンのいない世界』だ」
「どうやってそんな状況を作るの?」
「全Arhatsが力を注ぐ。最も効果的に君の存在をなくすにはどうすればいいか、それはデルギウスがノカーノに出会わない事――」
「――という事は銀河連邦も『銀河の叡智』も発現していない」
「もちろんこちらもシニスターの滴などは使わない。だから帝国も存在しないし、マリスは《流浪の星》ですくすくと成長する。他にもいくつか微調整はするがね」
「想像もつかない。難しそうな勝負だな」
「あなたの代わりに行動する人物がどうにかして悪のマリスを銀河覇王にして、マリスがあの男との最終決戦に勝利すればあなたの勝ち――どう?」
「こういうのはしがらみがなくて行動力がある人間がいいよね――あっ、一人いた」
「多分こちらが思っているのと同じ人物ね。じゃあその人物には今の世界の記憶も残しておくわ」
別ウインドウが開きます |