ジノーラがマザーを連れて『上の世界』に居座り続けるリンの下を訪れた。
「マザー、具合はどう?」
「現金なもんだね。こっちに戻るとなったら調子が良くなったよ。後はもう死ぬだけだと思ってたんだけどねえ」
「まだまだやってくれないと困るよ――ジノーラ、わざわざ悪かったね」
「いえ、面白いものも見せて頂いたし当然ですよ」
「これからも面白いものが見られそうだし?」
「さあ、それはわかりません。このように私とマザーがここにいれば彼らも迂闊な真似はできないだろうという作戦を立てる人がいるのでは安心できないのは事実ですが」
「ははは、ばれたか。でも僕は二人に創造主になってくれなんて頼むつもりはもちろんないんだ。二人にはオブザーバーになってほしい」
「オブザーバー……中立の立場と理解してよろしいですね」
「うん、もちろん。マザーは?」
「あたしゃ、こっちで骨休めできるなら構わないよ。『下の世界』の石を巡るごたごたも興味ないしね。どうせマッチポンプだろ?」
「相変わらず手厳しいですな。ですがアーナトスリを炙り出すにはあれしかないのです」
「さてと、それじゃあ僕はちょっと出かける」
「こっちが着いたと思ったら、いきなりどこに行くんだい?」
「そのマッチポンプの後片付けさ。せっかく出てきたのを仕留められなきゃ意味ないんでしょ?」
「さすがです。これで又彼らに対して貸しを作りますな」
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