目次
1 招待状
《七聖の座》、主星デルギウスにある銀河連邦本部の議長室にトゥーサンがロアリングを伴って訪れた。
「議長。例の石の件について報告に参りました。その前に、先日はロアリングの懲罰についてゼクト将軍を説得して下さり、ありがとうございます」
「別に大した事じゃないよ」
「左様ですか。しかしロアリングが再び出張るまでもなく、《虚栄の星》の奴らが自壊したのには驚きました」
「人間の行動なんて公式には当てはまらないさ。ウイラードにはウイラードなりの考えがあったんだろう」
「それで議長、《虚栄の星》からの招待状の件ですが――」
「ボクの所にも届いたよ。『石を持つ全ての者、ヴァニティポリスに集まれ。そこで決着をつけようではないか』。そんな内容だった」
「チームがなくなった今となっては、最早、他に手段がないのでしょう。こちらもロアリングの将兵は使えませんが、他の将軍の手勢を用いれば一気に叩き潰す事も可能ですが」
「これ以上、恥の上塗りをするつもりかい。ここは彼らの提案に従って平和裏に物事を解決しよう」
「――わかりました。では連邦からロアリングを全権として赴かせます」
「うん、それがいい。《泡沫の星》の一件で失墜した信用を取り返すにはそれしかないね」
「議長はどうされますか?」
「ボクかい。ボクは少し長い休みを取ろうと思っているんだ。その間の連邦の運営はトゥーサン、君に委ねるよ」
「私がですか――かしこまりました」
トゥーサンたちが去り、くれないも立ち上がった。
「さてと、ボクも行かなきゃ」
マリスとアイシャは同じ招待状を《囁きの星》で受け取った。
「もう石探しは終わりって事かな」
マリスが言った。
「全ての石が出揃ったって意味じゃないかしら?」
「全ての石を誰が手にするか、フェアな形で決着をつけようって話だね」
「面白いわ――マリス、きっとあなたが一番多くの石を持っているんだから負けちゃだめよ」
「この騒ぎももうすぐ終わるか――」
「どうしたの。しんみりしちゃって。これからじゃない?」
「いや、全ての石を手にしてどんな願いでも叶えられるとしたら、どうすればいいかなと思ってさ。《享楽の星》のラダの願い、《鉱山の星》のニコの願い……一つしか叶えられないんだったら困るよ」
「そういう心配は勝者になってからするものよ」
「アイシャ。君にも叶えたい願いはあるの?」
「そうねえ。あるけど言わないわ」