「父さんが……創造主を消した」
セキが喘ぐように言った。
下の扉の前ではリンが肩で息をしていた。
「くそっ、手ごたえがなかった」
残った六人の創造主がリンの傍にやってきた。
「おそらくギーギの力で空間を繋いでそこに逃げ込んだな」
「失敗だったか」
リンは頭を抱えた。
「リン、大丈夫だ。この銀河は滅びない」
リンは目を丸くした。
「どうして?」
「アーナトスリがいるのがこの箱庭のどこかだからです。まさか自分がいる銀河を破壊するような真似はしないでしょう」
「何でそんなバカげた作戦を?」
「さあ、破滅の寸前まで”下の世界”の人間が絶望する様を見て楽しんでから、いざ消滅の寸前にギーギに頼んで、今のように空間を繋いでもらおうくらいに考えていたのだろう。だがその力の持ち主がここからいなくなって目算が狂ったはずだ」
「――という事は銀河は滅びない?」
「あくまでも今は、だ。彼らが又ここに戻ってくればどうなるかわからん」
「だったら僕がここに居座る」
「それがいい。我々はあなたを新しい創造主として迎えます」
「いや、そんな偉そうなのはちょっと」
「リン、ためらっている暇はない。これは新しい創造主とかつての創造主の戦いなのだ」
「うん」
「他に頼りになる人を呼んだ方がいいかもしれないな。我々を入れても七人では荷が重い」
「頼りになる人……あっ」
リンが突然、顔を上げ、様子を見ていたリンの子供たちの方を見た。
「父さんと目が合った……」
セキは言った――
別ウインドウが開きます |