8. Chapter 3 富か名誉か愛か

 Story 1 名乗りを上げる者たち

「そんな訳にはいかないよ。皆を救わなきゃ」
 セキは立ち上がった。

 ぱらぱらという足音が聞こえたかと思うと、足音の人物たちは眼下に見える銀河の箱庭の周りに集まった。

「創造主だ」
 コウが言った。
「ひい、ふう、みい……十五人いる」
 ハクが言った。
「――人数が足りないぞ」
 コクが言った。
「創造主の一人、アーナトスリの処遇を巡ってもめておるのじゃ。まあ、彼らの話に耳を傾けてみなさい」
 空海が言った。

 
「本当に困ったな」
「まさか石にあんな仕掛けをしたなんて」
「こっちもナインライブズの発現で浮かれてたからな。迂闊だったよ」
「で、どうするの?」
「仕方ないでしょう。時限爆弾を仕掛けたアーナトスリはどっかに消えたんだから解除しようがない」
「って事はこの箱庭も終わりか」
「……十回目の世界。気が進まんな」
「もう十分じゃないか。ナインライブズという貴重な現象の記録も採れたし」
「気の毒なのはあの男だ。銀河の王になるなどど豪語していたのに」
「あんな奴はどうでもいいよ。それより十回目の世界を造るんならさ。いい考えがあるんだ」
「わかった。リンを仲間に引き込むんだろ?」

「空海。創造主たちは何を話してるんだい?」
 ロクが言った。
「創造主アーナトスリを止めないと銀河は終わる。だがそのアーナトスリは行方不明――おんしたち、来る場所を間違えたようじゃの」
「くそっ、ここまで来て見てるだけなんて」
 セキが叫んだ――

 

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