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20XX.9.XX 災厄の地
ぼくたちのシップは《愚者の星》を目指した。
コメッティーノとゼクトという伝説の人物が同乗しているのが信じられなかった。
彼らはじいちゃんと歓談をしていた。リンがどんな人物だったとか、大帝との戦いがどうだったとか、話はいくらでも尽きないのだろう。
美夜がぼくの傍にやってきて言った。
「ジウラン、『鎮山の剣』だけど、やっぱりあなたが持った方がいいんじゃないかしら?」
でも剣の嗜みはないし――
「剣の真の力を引き出せないって言うんでしょ。それはあたしも同じ。だったら誰が持っても一緒じゃない?」
うーん、と唸っていると美夜が前方を見ながら言った。
「あら、船団が停まってる――おじい様、ちょっと来て下さい」
じいちゃんたちがどやどやとシップの前方に移動してきた。
「ああ、ありゃあ、《花の星》のシップだな。船体にパラディス家の花の紋章がついてらあ」
じいちゃんがそう言うとコメッティーノが口をとがらせた。
「何だよ、パラディスも一枚噛んでんのかよ」
「仕方ないだろう。ジュネ女王はリンの嫁さんの一人だったんだから」
「一人?他にも女房がいるって事か?」
「ああ、全部で六人、後は《オアシスの星》のアダン・マノア、《巨大な星》の葵、沙耶香は行方知れず、ミミィは異世界の人間だし、ニナはどこにいるかわからんな」
「へえ、お盛んなこった。メドゥキみたいな男だ。子供もたくさんいるんだろうな」
「九人いる。それにマリスも文月を名乗っているから十人だな」
「デズモンド、あんたも《青の星》に暮らしてるって事はリンや息子たちと顔見知りなんだろ?」
「リンとは一度しか会っていないが、その息子たちとは頻繁に会っていたぞ」
シップは《愚者の星》の上空に着いた。パラディス家の船団が見守る中、下に降りるのはコメッティーノ、ゼクト、じいちゃん、美夜、そしてぼくの五人だった。
厚い雲の垂れ込める空間に小型シップで突入して、大気圏を越えた所で操縦席のジュネを除いたぼくら五人は立ち上がった。