7. Chapter 7 復活する者

 Story 1 マリス

 ここは不思議な場所だ。
 ぼくはいつまでもぼくの姿をしているのに、後から来た人たちは皆、透明な霧みたいになって、やがて姿が見えなくなる。

 ある時、急に優しい風が吹いた。
 懐かしい誰かの匂いがして現れたのは女の人だった。
 その人はぼくに気付くと、にこりと微笑んだ。
 そして言った。
「私の父を知るあなたは誰なの?」

 そうだ、ぼくの名はマリス。
 ここで長い間漂ってる内に、自分が誰なのかわからなくなりそうになってたけど、もう忘れない。
 マリス、文月マリスだ。

 

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