7. Chapter 3 岐路

 Story 1 決別

「本当にいいのだね?」
 確認に若い男が黙って頷いたのを見て、年配の男はにこりと笑って話を続ける。
「最初、君に計画を打ち明けた時には、正直協力してもらえないのではないかと心配した。いざとなれば彼女に説得するよう頼もうかと思っていたのだよ。だがさすがは君だ。おそらくあの時に全てを悟ったね」
 若い男は笑顔のまま話を聞いている。

「――そう。あんなものはまやかしに過ぎない。それを知っているのは私と君と彼女とあと数名、もちろん彼らもそうだが、彼らが知った以上は早急に結果を出さねばならない。どうにも血の気の多い者もいるのでね。困った事だ」
 年配の男は頭をぽりぽりと掻き、若い男はその様子を見てくすりと笑う。

「私にも大いに責任があるのは認める。君の協力が得られなくても仕方ない、君の体も心配だしね――ところが君から提案があったので私としてはそれに大喜びで飛び付かざるを得ない」
 若い男は話が核心に近づいたのを理解して真顔になる。

「もう一度言うが本当にいいのだね。最悪の場合、君の身内が血で血を洗う壮絶な争いを繰り広げるかもしれない。それに耐えられるかね?」
 若い男は自分自身に確認するかのように大きく頷く。

「わかった。銀河を救いたいという君の決心、心に刻み込もう――それにしても君のような、いや、今は止めておこう。君が何者であれ、その崇高な志に感謝するのが礼儀というものだ」

 

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