ジウランの航海日誌 (1)

 Chapter 2 Resurrection<復活>

20XX.8.XX 宇宙へ

 宇宙空間に出てちょうど丸一日が過ぎた。
 ぼくも美夜も全く問題なく環境に適応できている。
 シップの操縦はもっぱらじいちゃんに任せているので、美夜とぼくは船内に持ち込んでいた『クロニクル』の残りを読み進む事にした。
 残るはエピソード7から8までの二つ、エピソード7はこんな構成になっている。

 

Ep.7 Life
Ch.1 2003年4月
Ch.2 Resurrection<復活>
Ch.3 岐路
Ch.4 ハクの帰還
Ch.5 ケイジの旅立ち
Ch.6 ドノス
Ch.7 復活する者
Ch.8 覚醒
Ch.9 ナインライブズ

 

 まだチャプター1の途中だけど、とうとう美夜の父さん、美木村義彦が登場した。最後のチャプター9はナインライブズだし、色々な事が決着するのだろうか。
 美夜にお父さんの事を尋ねようとしているとじいちゃんが操縦を自動任せにしてやってきた。

「お前たち、耐性と適性の方は準備万端か?」
 準備も何もないと答えると、じいちゃんは鼻で笑った。
「後でほえ面かくなよ。《花の星》にはもうすぐ着いちまう。実戦が始まってからじゃ遅いぞ」
「おじい様、ジウランが言ったのは耐性や適性が身に付いたかどうか、確認しようがないって意味だと思うんですけど」
「おお、そういう事か。さすが美夜さんは的確な言葉使いだな」
「いきなり毒耐性とか必要になるんですか?」
「さあ、どうかな。だがこうやって船内で適応できている所を見ると、重力と無酸素は問題なさそうだし、後は”花の星”で最終確認すればいいか」

 じいちゃんはずっと《花の星》に行ってたのか訊いた。
「いや、わしがいたのは別の方角のご近所、《歌の星》だ。お家騒動が持ち上がってな、わしが乗り込んで、争いの原因となっている『石』なんぞは存在しないと説明してやったんだ」
 石?
「ああ、まだそこまで進んでないか。今のこの世界にはArhatsの力を封じ込めた石は存在してないんだ。それなのに馬鹿共が事実の世界と同様、石を巡ってもめておった――つまりこれはArhats側の設定ミスだな」
「おじい様、Arhatsもそんなミスをするんですか?」
「うむ、世界は広いからな。だがそここそが狙い目ではある。どんな小さな事でもいい、辻褄が合わない事象をたぐっていけば勝機は開けるかもしれない」
「でも『クロニクル』を最後まで読まないとそういった比較はできないんじゃないですか?」
「確かにな。わしは編者だからよくわかってるが他の人間はそうかもしれん」

 編者と言う言葉で思い出した、ずっと聞きたかった事をじいちゃんに尋ねた。
「なるほどな。初版と第二版の違いか。大事なポイントだな。だがその前にわしがいつ第二版を書いたかを話しとこう――

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