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Record 1 七聖のその後
まず初めに七人の聖人が叡智の儀式を行った後どうなったかを話しておこう。
デルギウスはノカーノが《青の星》から帰還するとすぐに結婚をし、センテニア家の血統は絶えなかった。
初代連邦議長となったデルギウスは自分の名を冠した《七聖の座》の主星に連邦の本部を置き、議会場などの主要施設を建てた。
人々は議長と同じ名を持つ星への移住を競い、小さな星には瞬く間に巨大都市ができ上がった。ヌエヴァポルトのように高層ビルが立ち並び、アンフィテアトルのように繁華街が作られ、プラのように文化施設が誕生した。
デルギウスはおよそ百年に渡って連邦議長を務め、公選で選ばれた次の人間に議長の座を譲った。
その後は《鉄の星》の内政に携わり、センテニア家の末裔たちに看取られながらその生涯を全うしたと言われている。
クシャーナとリリアは《七聖の座》での儀式が終わると結婚し、《歌の星》に戻り、星を治め、子を設けた。
現在もヨーウンデでは二人の末裔が王として在位している。
ファンボデレンは連邦軍の基礎を作り上げた。
生涯結婚をせず、晩年は《オアシスの星》でのんびりと暮らしたという。
曾兆明は《念の星》に戻って修行を続けると共に、苦労して師範代まで登り詰めたルミトリナに命じて『拳法体系』をまとめ上げた。又ルミトリナを《魔王の星》の管理責任者に据え、最後まで星から出る事はなかった。
メドゥキは実務家、実業家として才能を発揮した。
実務面においては連邦の事務機能を《七聖の座》、《商人の星》、《巨大な星》の三か所に分散して設置した。
当初はこの機能群の散在は評判が悪かったが、叡智によるポータバインドの実現により、この選択が間違いでなかった事が証明された。
実業家としては『メドゥキギルド』を設立し、商人たちのネットワーク構築に尽力した。このギルドは後の『マーチャント・ネットワーク』につながるものとなった。
メドゥキは色恋の面においても大変な発展家だった。気に入った女性と誰彼構わず関係を持ち、子供を作った。
《七聖の座》では石を投げればメドゥキの子供に当たるとまで言われるほどで、その正確な数字はわからないが、その血を引いた彼、彼女は例外なく実務に長け、経営のセンスに優れていたのは興味深い点だ。
最後にノカーノだが、これがよくわかっていない。
実子アカボシの後見人として《賢者の星》の統治に関わったが、いつの間にか姿を消したようである。
最愛の妻の下に行ったという者もいた。娘のいる辺境に移り住んだという者もいた。中には、ノカーノは転生を繰り返す『上の世界』の人間で姿と名前を変えて今でも生きているという者までいたが、どの説も推測の域を出ていない。