目次
1 恐ろしき偶然
千年の眠り
全ての記憶を消され、眠るケイジを乗せたシップはゆっくりと宇宙空間を進んだ。
長い旅路の果てに美しい、青い星が見えた。
その星では世界のおよそ半分を覆う大帝国が生まれようとしていた。
シップはそこを避け、その東側にある小さな弓形の島の近くの海に着水し、深く葦が茂った海に沈んでいった。
これからケイジの千年に渡る眠りが始まるのだった。
《歌の星》
ヤーマスッドはケイジが着いた星の近くにある星に着いた。
その星はあまり文明が発達していなかったが大きな特徴があった。
一握りの貴族が星を支配し、大多数の人間は奴隷として酷使されていた。奴隷は消費され、数が足りなくなると人攫いが他所の星から調達していた。
ヤーマスッドはすぐに人攫いと意気投合し、この星が気に入った。
「傷はもうすぐ完治する――しばらくこの星で遊ばせてもらうとするか」
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