6. Chapter 3 王国


 Story 1 招かれざる客

 何故、彼らは理解できないのだ。
 私の研究の素晴らしさを。

 何故、彼らは見ようとしないのだ。
 目の前に危機が迫っているというのに。

 生命を操作するのがどんなに恐ろしいか、私は『カザハナ計画』で身を持って体験した。
 私の研究はネクロマンシーや人体改造のように暗闇を引きずり出しはしない。
 ただ明るい未来を約束するだけなのに、彼らはそれをまるで汚いものでも見るかのように扱う。

 ある者は、銀河のはずれの《智の星団》にあると言われる《機械の星》のように機械が支配する世界が到来するのではないかと危惧をする。
 実際に《機械の星》に行った事がある人間などこの世界にいないと言うのに。

 外を見ると赤い雲が世界を覆っていた。
 私は自らの運命をこの赤い雲に委ねる。
 体に入ったシニスターの滴と呼ばれる代物がいつ発動するかはわからないようだが、そんなのはどうでもいい。
 来たるべき時代の露払いであったとしても、何の後悔もありはしない。

 

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