ジウランの日記 (2)

 Story 7 ロック

20XX.5.31 疑問

 エピソード6チャプター1のストーリー5まで読み終えた。

 エピソード6の山には全部で書類の束が九つあって、それぞれがチャプターを表しているようだった。チャプターの中はストーリーに分かれていて、各チャプターにストーリーが幾つあるのかまではわからない。ストーリーには更に番号が振られたセクション?のようなものが存在している場合もあった。
 現時点で判明しているチャプター構成はこうだ。

Ep.6 凶兆 Sinister
Ch.1 1983年8月
Ch.2 銀河連邦
Ch.3 王国
Ch.4 ヒガント(巨大な星)
Ch.5 XXXXXXXX
Ch.6 XXXXXXXX
Ch.7 XXXXXXXX
Ch.8 XXXXXXXX
Ch.9 XXXXXXXX

 
 例によってXの所は読めず。じいちゃんの凝った仕掛けで、その時が来れば読めるようになるというオチだろう。小さい頃からじいちゃんのしでかす不思議を見てきたから全く変に思わなかったけど、冷静に考えればこれは地球人の能力ではないのかもしれない。

 
 それにしても読み始めたばかりだけど驚く事が多い。地球は《青の星》って呼ばれてる事、野蛮で文明のレベルが低いとみなされている事――もちろんじいちゃんの創作じゃなければだけど。
 何故フィクションだと疑っているかと言うと、結局エピソード6にあるような1983年の夏に起こった多くの大事件なんてどこにも記録が残っていないからだ。下宿から持参したPCを使ってネットで調べたけれど全くヒットしなかった。

 早くも岐路に立たされたのを実感した。
 感覚的には85%くらいの確率でじいちゃんの壮大なホラ話のような気がするけど、心のどこかでじいちゃんが本当の事を言っている、そう信じたい自分がいた。
 つまりは、こうやって誰も覚えてないのは『事実の世界』が失われたせいで、皆『偽りの世界』に生きているからなんだと。
 でもそれをどうやって証明する?
 今の世界は偽りで事実は別の所にあるんですよと言ったところで、ぼくは頭のイカレた青年と思われるだけだ。
 かと言ってスルーし続けていたらどこかで取り返しのつかない事態に陥るんじゃないか、そんなぼんやりとした危機感は否定できなかった。

 読んで理解する、そういうのはどうも苦手なスタイルだ。早速、明日から行動を起こそう。まずは図書館で新聞などの資料を片っ端から漁る。H図書館とかの大きな図書館なら何か手がかりがあるかもしれない。きっとじいちゃんもぼくが考えるのが苦手なのをわかっている、だってぼくはじいちゃんの血を受け継いでるんだし。

 

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